『さ』さよならの『さ』
ある家族が事業の失敗から海外に引っ越さなくてはならなくなりました、しかしその家の少女は幼なじみの少年にその事を言い出せずに居ました。
引っ越しまで後一週間、そして物語が始まります。
寂しい物語を知った時、変化(人の姿に変身出来る動物)たちはどうするのでしょうか?
オープニング1
(推奨キャラ野生の変化)
夜、明かりの消えた街に一軒しかないコンビニ(夜の八時までに店を閉めてしまいます。)側の路地裏で散歩に来ていた変化は人が争うような物音に気がつきます。
変化が物音に興味を持つと路地裏から「覚えてやがれ」の捨て台詞と共に三人の不良っぽい人が飛び出して来ます。
それを見送った変化の前に路地裏から喧嘩でボロボロになった中学生ぐらいの少年が体を引きずりながら現れます。
変化が何かアクションを起こしたら、餌をねだっていると勘違いをして、「何も持っていないぞ」と毒ずきながら、学生服のポケットから取り出したあんパンのアンコを取り除いてから変化に与えてその場を立ち去ろうとします。
去り際に少年は変化に(変化が変化だと匂わせる行動をとってなければ)「人間様に気をつけろよ、お前ら動物の事なんか、何とも思っちゃいないんだから」と声を掛けて立ち去ります。もしくは(変化が正体をバラしていたら)「あばよ変化、あんまり人間に近づくなよ、痛い目見るのはいつもお前らだからな」と声を掛けて立ち去ります。
変化とNPCの少年の出会いのシーンです、乱暴そうな少年ですが、優しい面もあることを変化に気がつかせてあげてください。
また、幼なじみの少女から避けられいて苛ついているために喧嘩をしてしまった伏線です。
オープニング2
(飼われてる変化推奨)
玄関の電話口で飼い主(推奨は奥さん)が電話越しに世間話に興じています。
暫くして話が終わったのか、思案顔で変化のいる場所に来て、変化に話しかけてきます。
飼い主さんが語るのは以下の事。
・急なことだけど、知り合いの家族(少女の家族)がアメリカに引っ越す事になったらしい。
・旦那さんも奥さんも英語が話せないから大変らしい。
・旦那さんの事業が失敗したためにこの町にはどうしても居られないらしい。
・奥さんは新しい環境に不安を持ってるらしい。
・娘さん(少女)が友達と別れなきゃならないから可哀想。
・旦那さんは自信家だけど、実力自体がある訳じゃない、家族が支えてあげないと駄目になるだろうって評価。
ひとしきり変化に語るだけ語ると飼い主は満足して変化を解放します。
少女の家族が引っ越しをする事を変化に直接教えるシーンです。
また、引っ越しの噂が町に広まってることを教えるシーンでもあります。
シーン1
時間帯は朝、子供たちが学校に行く時間。
子ども達が挨拶を交わしながらじゃれ合いながら学校に向かってるところに散歩途中の変化達は出くわします。
中学生ぐらいの少年が同じく中学生くらいの少女に声を掛けてるところにも出くわしますが、少女は表情を曇らせながらなにも答えず足早に立ち去って行きます、少年の苛立ちを表現して変化たちに興味を持たせたらこのシーンはお終いです。
シーン2
時間帯は昼、放課後になったばかりの中学校、変化たちが何の気なしに遊びにいくと、騒ぎが起きます。
二階建ての校舎の屋上のフェンスが外れ、屋上で言い争い(痴話喧嘩?)をしていた少女がフェンスにもたれたため、落下します。
言い争いをしていた少年がとっさに飛び出し自分の体をクッションにして植え込みに飛び込んだため、少女の方はショックで気を失っただけで外傷はありません、少年も擦り傷と打ち身で済みます。
少年と少女が動けずにいると野次馬達が集まってきて、少年が少女を突き落としたのでないかと噂しだします、少しして動けるようになった少年は野次馬を一喝し、先生に知らせて少女を保健室に運ぶように言った後、痛む体を引きずりながら学校を後にします。
シーン2
時間帯は夕方、場所は町外れの空き地。
打ち捨てられた土管の上に寝そべって少年が体を休めています。
変化たちに気がつくまで、独り言で不満をぶちまけています。
・最近幼なじみの少女が自分を避けている。
・引っ越しの噂の事を訊ねても何も言ってくれない。など。
変化達に気がついた後は、自嘲気味に人間は面倒臭い生き物で男の子は格好悪い生き物だよなとおどけて見せます。
変化達が人の姿に化けてもビックリせず、変わらない態度を続けます。
その際、
・人には見えない物が見えるため、変化達の存在も許容出来ること。
・人と違った感性を持つために、他人から拒絶されあらぬ噂をよくたてられること。
・そんな中、少女だけは変わらぬ態度で接してくれたのでありがたかったこと。
・そんな少女の態度が最近変わり、引っ越しの噂を聞くようになったので問い質したけど答えてくれなかったこと。
を話ます。
最後に少年は、少女が自分に何も言ってくれなきゃ、「絶対に行くな」と駄々をこねることも「頑張って言ってこい」と泣きべそかきながら見送ることもできはしないと寂しそうにもらします。
少年が変化たちにもう暗くなるから帰った方がいいと勧め、自分ももう少し休んでから帰るむねを伝えこのシーンは終わります。
この後はシーンの指定はありません、土曜の夜までのタイムリミットまで変化にどんなシーンが欲しいか聞いてそのシーンを作ってあげてください。
タイムリミットまでに少女の心を解きほぐし少年に引っ越すことを伝えられたら、日曜の朝に駅で旅立っていく少女と家族を少年が見送る事になります。
「行って来いよ。辛くなったら逃げ帰ってこれば良いんだし。ここでまっててやるから」の一言と共に。
少女が最後まで言い出せなかった場合、誰も見送りのない駅を列車は旅立ち、その中で父親は誰に聞かせるでもなくアメリカでの希望を喋りまくり、母親は不安そうにそんな父親の様子を伺い、少女は何も聞こえないかのように窓から遠ざかっていく町を見つめ続けます。
町外れの一本樫の梢から列車を見つめる誰かに気づけたどうかはわかりません。
少女の説得の際には、なるべく能力だけでごり押ししないよう言ってあげてください。
例えば猫の「心のぞき」で少女の心の悩みをズバズバ言い当てられたら、逆に警戒して拒絶するかもしれません。
狐の「お告げ」で少年に本当のことを告げるように正夢を見せても、多分告白はしません、自分が引っ越すことを彼が喜ばない事を彼女は知ってますし、もし行かないように彼が言ったなら何とかして町に残ろうとしてしまう事も自覚してます、そして自分と言うパースが抜けてしまうと家族が崩壊してしまう事と父親が一人では駄目な事をしっているからです、何も言わず黙って出て行くのが自分と彼の傷が一番小さくて済む方法だと彼女は思い込もうとしていますから。
彼女を理路整然と説得しようとすると難しいです、彼女の押し殺してる感情を上手く引き出してあげてください。
彼女から自分の悩み苦しみを打ち明けてもらえれば後一息でしょう、優しく励まして背中を押してあげましょう。
お父さんが悪いからと虐めたがる変化もいますが、お父さんを虐めても物語は好転しません、実行する前に何度か止めてあげましょう、それでも引かなければバッドエンドを覚悟しましょう。
以上がゆうやけこやけ用シナリオの「『さ』はさよならの『さ』」っス。
もしよろしければ、読んだ感想や、やってみた感想を教えて欲しいっス。
長文乱筆失礼したっス。