ヒーロー参上!


変化達の住む町にヒーローを名乗るトンチンカンな変なやつが現れた。
町のあちこちで混乱と困惑を振りまきながら、事件(?)を解決しようとして大迷惑を掛け続ける彼に出会ったとき、変化達は何を思うのでしょうか?

オープニング1
(野生の変化、もしくは犬猫の変化推奨)
時間帯は夕方、場所は鉄橋脇の川原。
変化が川辺の土手を散歩していると、下の河原が何やら騒がしい、ひょいと覗くと数人の子供達が輪になって何やらやっている、輪の中にはうずくまって泣きじゃくる子供の姿が、変化が気づき何かをしようとした瞬間、何処からか笑い声と声が響きます。
「ハハハ!力ある大多数で力無き少数を傷つけるのは止めたまえ!」
声の本を探すと、夕日を背に鉄橋の上に妙にちんちくりんな人影が。(格好は自由に設定して下さい、自分の時は全身タイツを身に着けたパーマンのような姿でした。)
みんなの視線が一点に集まった時、人影は「とうっ!」と掛け声も勇ましく鉄橋から飛び上がり、そのまま落下します。
呆気にとられるみんなを尻目に妙な人影は無様な落下など無かったかのように立ち上がると、子ども達の輪に近づくと、コンコンとお説教を始めます。
毒気を抜かれていた子ども達はポカンと呆気にとられます。
困惑する子ども達を押しのけてリーダーらしきガキ大将が、その妙な人影に何者かと問い掛けますが、「僕はヒーローだ」との返答に馬鹿にされたと感じて、怒りに顔を真っ赤にして殴りかかってきます。
しかしヒーローを名乗る少年は慌てず騒がず、避けません。
殴られるままですが、どれだけ殴られても平然としています。
最初はリーダーの勇姿に喝采を送っていた子ども達ですが、しばらくすると異常に気づき腰がひけ出します。
ガキ大将も余りの異常さに泣きが入ってきますが、仲間達の手前止めることが出来ません。
変化が何かアクションを起たら(大人を呼ぶふりをするなど。)これ幸いと捨て台詞を残して子ども達は逃げ出します。
残されたのはいじめられていた子供と変化と自称ヒーローです。
ヒーローはいじめられていた子供にひとしきりお説教と励ましの言葉をかけると遅くなるからと帰るように促します。
変化が話しかけると受け答えしてくれますが、誰なのとの問いに「僕はヒーローだ」、何処から来たのの問いには、質問自体がわからないようだったり、普通の人や動物、変化の区別がつかなかったり(個人の区別はつくようです)とトンチンカンなやりとりしか出来ません。
暫くして夕日が沈み出すと、自称ヒーローは「あっ!」と言う叫びと同時に胸を押さえて崩れ落ち、苦悶の表情を残して消えていきます。(本当に姿が消えます。)
辺りを探したり調べたりしても、何処に行ったのかわかりません、それどころか本当に彼が今までここに居たのかすら怪しくなります。
変化が対応に困ったままシーンは終わります。


オープニング2
(野生の鳥の変化、飼い主のいる変化推奨)
時間帯は夕方(オープニング1とは別の日です。)、場所は商店街。
商店街の真ん中で沢山の荷物を引いた古いオート三輪が立ち往生しています。
大人が三人掛かりで動かそうとしていますが、押しても引いてもビクともしません。
みんなが困っていると、どこからともなく笑い声が。
「ハハハ!どんな辛い時でも諦めてはいけません!」
声の方を振り向くと、電信柱の上に夕日を背にして子どもくらいの大きさの人影が。
みんなが唖然としていると「とうっ!」と掛け声ともに飛び上がり、また落ちます。
落ちたことなど無かったかのように立ち上がると、オート三輪まで近づくとオート三輪を押し始めます、オート三輪はぐいぐい進んではいきませんが、少しずつ少しずつジリジリと動き出します。
十分ほどオート三輪を押して商店街の中の自転車屋さんまで運ぶと、店の人に修理を頼み、とって返して立ち往生してた大人達にこんこんと諦めずに頑張る事を説き出しますが、大人たちは怪訝な顔をして立ち去ってしまいます。
ここで変化がちょっかいをだしても、オープニング1と同じような展開になります。
そして、夕日が落ちる頃、自称ヒーローは胸を押さえて苦しそうに消えていきます。


シーン1
時間帯昼、場所空き地。
変化たちが集まってお喋りをしていると、偶然自称ヒーローの話題が出ます。
あれやこれやと正体を推測しようとしますが拉致があきません。
偶然通りかかった動物(変化と同じ種類の野良の方が良いでしょう)も夕方に見たと教えてくれます。
変化たちが自称ヒーローに興味を持ち、捜してみよう、調べてみようと言い出したらシーンを終わります。

シーン2
時間帯昼、場所町のあちこち。
変化たちが一生懸命、自称ヒーローの事を聞き込んだり調べたりしますが、手掛かりはようとして掴めません。
聞き込みしたり調べたりしてわかることは、変化たちのすでに知ってることしかわかりません。
結局分かっているのは以外の事だけです。
・自称ヒーローである。
・常識とは縁遠いらしい。
・いつの間にか現れる。
・困ってる人(人とは限らない)の所に現れる。
・助けてくれるけど、少々トンチンカン。
・現れるのは夕方だけ。
・いつも消えてしまう。
・個人の区別はつくが、人や動物の敷居が曖昧。
・犬に聞き込みしたり、犬の変化がヒーローに会った時の事を思いだそうとすると、ヒーローから微かに消毒などの薬の匂いがしたのが分かります。
変化たちが対応に困ったところでシーンを終わります。

シーン3
時間帯夕方、場所シーン2の場所。
シーン2の続きです、夕方になり陽が暮れそうになったので変化たちは家路に着こうとします、町外れの太い道まで着たとき、はしってくるトラックとその前に子猫を見つけます、変化達が急いでも間に合いそうにありません。
その時、変化たちの脇を凄い勢いで何かが通り過ぎます、変化たちが探していた自称ヒーローです。
子猫がトラックに挽かれる直前、ヒーローは子猫を抱きかかえますが、子猫もろともヒーローはトラックにはね飛ばされます。
ヒーローに庇われたお陰か子猫はびっくりしてるだけで怪我はありません、慌てて駆け寄った変化とトラックの運転手のまえで、子猫と運転手に何事もなかったかのようにお説教を始めます、しかしその途中、また胸を押さえて苦しそうにヒーローが消えていきます、夕日が沈んでしまったのです。
変化たちと運転手さんが大混乱した所でシーンを終わります。


シーン4
時間帯朝、場所古い変化が居る場所
変化たちが自分達だけでは訳が分からないので、自分達より長く生きてる古い変化に知恵を借りに行くシーンです。
変化たちに自分の口で見聞きした事を説明させてあげましょう。
変化たち話を静かに聞いた古い変化は、これは自分の推論で真実では無いし、みんなが望んでる答でもって無いから参考にすだけにしなさい、と前置きしてから、推論を述べます。
特定の時間帯にしか存在できない不安定さや社会の常識からずれてる様等から、何らかの情念が大きな力を獲たもの、ポルターガイストや生霊の様なもの、高密度のエネルギーなので触れたり存在が確認出来るようになったもの、常識の欠如や薬の匂いがしたことから、現象を引き起こしているのは子供ではないか、しかも今病院に入院しているのではないか?と推論を披露してくれます。
そして最後にもし、この推論が正しかったら、その子にとってあまりよくない、その状態が長く続けば危険だと告げます。
変化たちにこれからどうしたいか聞いてこのシーンは終わります。


生霊を出してしまってる子供を探す場合、この後2シーンから3シーンを使って見つけるシーンを演出して下さい。
鳥に頼んで病院の様子をみてもらったり、小学生の子供に聞き込んでもらって長い間学校を休んでる子供が居ないか探してもらったりすれば早くわかるでしょう、上手く誘導してあげてください。


クライマックスシーン
時間帯朝と夜以外、場所病院。
動物の姿では入れませんので、人間の姿に変わるか、誰かの荷物に紛れるように誘導しましょう。(荷物に紛れると騒ぎが起きそうなので人間への変身を勧めましょう。)
子供の名前を出してお見舞いに来たことを告げればすんなりと通してもらえます。
病室の前までくると、中から感情的な子供の声とそれをたしなめる女性の声がします、どうやら病状が良くならない子供が治療を嫌がり薬を飲まないと看護師さんに突っぱねてる様です。
押し問答に疲れたのか、次の回診までに薬を飲むよう言い含めて看護師さんが病室から出て来ます。
入れ違いに病室に入れば暫く子供とゆっくりと話が出来ます。

変化達が病室に入ると、子供は不思議そうな顔をします、変化たちが自分達を知っているかと尋ねると、知らないと即答しますが、でもどこかで見たような気がすると付け加えますが、結局わかりません。
話の中でわかることは以外のこと。
・二年前から病気の治療をしているが、いっこうに良くならない事。
・それがもとで、治療に希望が持てず、飽き飽きしてること。
・最近夕方はぼーっとしてしまうこと、その時何かワクワクするような夢を見てる気がするけど、よく思い出せない事。
・前に近所に住んでいた仲の良かった隣町に住んでるお兄さんが見せてくれたヒーローショウのヒーローに憧れていること。
などがわかります。
話の最後に子供は、本当のヒーローがいてくれたらきっとここから自分を救い出してくれる、どうせ病気が治らなくて死んじゃうなら辛いだけだから治療なんかしたくないと呟きます。
変化たちが子供を上手く励まして治療にやる気を取り戻させるか、変化たちが諦めたらシーンは終わります。
子供を上手く説得するためには、一方的に励まして続けたりしても効果は薄いです、まずはいじけて拗ねている自分を認識させてあげてください。
直接指摘しても拗ねるだけですので、憧れてるヒーローをうまく使うといいでしょう、「今の君を君が大好きなヒーローが見たら、喜ぶのかな?」などがお勧めです。
その後でなら、励ましても効果が出て来ます。
最近町に出没する自称ヒーローを元気になったら一緒に探しに行こうと提案したり、元気になったら一緒にヒーローごっこで遊ぼうと誘ったりすれば効果的です。
変化たちの説得が効果があったと感じたら、子供が嫌な薬を頑張って飲んで見せたりすれば盛り上がるはずです。


エンディング1
数ヶ月後、変化や他の子ども達と一緒に遊ぶ入院していた子供の姿が有ります。ひとしきり、はしゃぎ回って楽しく遊ぶ演出を楽しんだらシナリオは終了となります。
変化たちの活躍により、1人の子供の心と命は救われました。



エンディング2
数ヶ月後の夕刻、病院から霊柩車が静かに走り出します、一人の幼い少年が家へと帰るのです、見送りの人も居ません。
もし、変化たちが見送ると言ったなら、病院上から夕日を背に黙って少年を見送るヒーローの姿が見つかります。
それから暫く、町ではヒーローの姿が目撃されます、しかしそれもしばしの事、やがて姿は見えなくなり町の人も忘れてしまいます。
それでも、消え去る瞬間までヒーローはヒーローらしく有ろうとし続けます、それが少年が望んだ事だし、自分の存在理由なのでしょうから。
もしかすれば、消え去る瞬間のヒーローと変化は出会うかも知れません。
変化たちに感想を聞いたらシナリオを終わります。

まとめきれなくて、長くなりましたが、これで「ヒーロー参上!」のシナリオは終わりっス。
出来ればエンティング1になるように遊んでほしいっス。
長文乱筆失礼しましたっス。


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