『マインド・オブ・ダークネス
-シヴィルの運命(さだめ)-』
(by 女魔物使い ぱぁ-る)
STAGE1:平穏な日常
王立歌劇団の一日は長いようであっという間に流れていく
団員全員が集まっての朝礼に始まり、後は夕食までそれぞれが自由に過ごすことができる。来たる公演当日に向けて猛然と稽古に励む者、自分の職業柄日々鍛練を欠かさず続ける者、はたまたお気楽極楽に遊んで楽しく暮らす者など、各個人の過ごし方は多種多様で実に個性的だ
もちろん、団長のザウエルはこれを強制的に変えることはないし、注意することもない
「団員一人一人が何かに努力することを忘れなければ、一つのことに捕われる必要はありません
それぞれが目的を持って過ごしていただければ、自然と自分に合ったライフスタイルが楽しめるのです」と彼は言う
そんな中、今日もエルフの少女シヴィルの長いようであっという間な一日が始まろうとしていた……
ミーミャ「ねぇシヴィル-、今日もミーミャたちに錬金術、見せてくれないかにゃ?」
シヴィル「いいだお。でもシヴィルもまだ駆け出しだから、いきなりすごいものはちょっと作れないおぅ」
ルファ「そんなことないよ。シヴィルの錬金術はボクも少しうらやましいって思ってるんだよね」
マーシャ「そうだにゅ。マーシャのオカリナやテレポ-テ-ションもすごいけど、やっぱりシヴィルの錬金術にはかなわないにゅ」
シヴ「そ…そうかぁ? そこまで言われたらやらないわけには……」
シヴィルは照れ臭そうに笑うが、さっと表情を戻し
シヴ「じゃあ今から錬成陣を描くから、みんなは少し離れてるんだおぅ」
シヴィルは宿舎中庭の地面に小さな錬成陣を描いていく。数分後、地面にはヘキサグラムを象った錬成陣ができあがった
シヴ「いくおぅ! せ-のっ!!」
シヴィルは両手で錬成陣が描かれた地面を叩きつけると、錬成陣からバチバチっと強力な光が発生し始めた。そして、光の中から新たな物質が生まれていく
ルファたち一同「おぉぉぉ--!!」
一同が関心する中、光の中ではどんどん物質が構築され、光が消滅したときにはある1つの物が完成していた
ミ-「すっごいにゃ! やっぱりシヴィルは錬金術の天才なんだにゃ!!」
シヴ「ありがとだお、ミーミャ。でも、錬金術はこれだけじゃないんだおぅ」
ミ-「にゃ?」
ミーミャは何が何やらわからないといった様子だが、シヴィルはそのまま話を続ける
シヴ「錬金術には様々な種類に分かれてて、1つは今みたいな錬成陣を使った魔術タイプ、そしてもう1つはここじゃできないけど、薬品とか粉末のものを使ってそれを専用の器具材で融合させる調合タイプがあるんだお。他にもいろいろあるらしいけど、シヴィルが知ってるのはこの2種類だけなんだおぅ」
ルフ「へぇ-…シヴィルって、けっこう錬金術に関しては詳しいんだね-」
シヴ「そんなことないおぅ。シヴィルだってザウエルに教えてもらって、やっと2つ覚えることができたんだおぅ」
マ-「でも今度はもう1つの錬金術も見せてほしいにゅ」
シヴ「わかったお。それじゃあ、夕食が終わったらシヴィルの部屋に遊びにくるんだおぅ♪」
ミ-「約束にゃ♪」
シヴィルたちが錬金術の会話で盛り上がっていると、団長のザウエルが宿舎の奥からてくてくと歩いてやってきた
ザウエル「おやおや……皆さんで何の話をしているんですか?」
シヴ「あ、ザウエル-、おはようなんだおぅ♪」
シヴィルはかわいい笑顔でザウエルにあいさつをする
ザウ「おはよう。それからシヴィル、その呼び方は皆の前ではやめなさいと言ったはずですよ」
シヴ「あぅ…ごめんだおぅ、だんちょ」
ルフ「それより団長。こんな時間にどうしたんですか? いつもならスラストさんやシグさんと一緒に事務のお仕事をしているはずでは?」
ルファが聞くと、ザウエルは軽く咳払いをした後こう言った
ザウ「そのことなのですが、実は夕食前に皆さんには劇場に集合していただきたいのです」
ルフ「劇場に?」
ザウ「ええ。他の団員たちにもそう伝えてあります。詳しいことはその時にまたお話ししますよ」
ルフ「そうですか……わかりました」
ザウ「それでは、各自引き続き稽古に励んでくださいね」
ザウエルはそう言うと後ろを振り向き、宿舎に向かって再び歩き出した
ミ-「ねぇルファ-。何で団長はミーミャたちを劇場に集まらせるのかにゃ?」
ルフ「さぁ……ボクにも何が何だかさっぱりわかんないよ……」
ルファはため息をつき、頭を抱えて悩み込む
マ-「でも団長は他の団員たちにも伝えてあるって言ってたにゅ」
シヴ「もしかしたら、今日の夕食は劇場で食べるのかもしれないおぅ♪」
シヴィルの発言に、一同はア然とする
ルフ「そんなわけないだろ?まったく…シヴィルは食い意地だけははってるんだもんなぁ……」
シヴ「てへへ……♪」
マ-「とにかくルファ…これからどうするんだにゅ?」
ルフ「そうだなぁ……」
ルファは顎に手を当てて考え込む
ルフ「…とりあえず集合時間までは自由にしてていいんじゃないかな。何かあれば、団長がまた言ってくるかもしれないし」
ミ-「わ-い。じゃあシヴィル-、それまで一緒に遊ぶにゃ♪」
シヴ「もちろんだお♪」
マ-「あ-、マーシャも-!!」
ルフ「…ボクも付き合わせてもらうよ」
こうして、シヴィルの何気ない日常は穏やかに流れていくのだった。しかし、この後でのザウエルの発言が団員全員を驚愕させることになる……。
<続く>
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