セメタリーで夕食を
by ラセン


コイツの一言で始まった今夜の夕食
「昔から夢があってね夏は河原(墓場)でバーベキュー!実際経験無いんで焼肉との区別つかないんだけどねぇ」
昔のことは多く語らないがあまりに物知らずな言動は初めどこかの箱入り娘かと思ったのだが

「某極東異界より盗ってきた星条旗豚肉に南半球牛肉に極東真裏側鳥肉と商店街買い出しでgetした貴重な金羊の肉ーー」
小皿と揃いの普段使わない趣味の悪い柄の大皿に肉がのっている

「わーいニャ」

「チューウ(わーい)」
ピンクの猫娘と灰色のネズミ毛色の変わった2匹がナイフとフォークで甲高い音を響かせる



「さぁ網に乗せるよっ」
あたりに肉の焼ける匂いと音と煙が広がってゆく
「おいしそうニャけど金羊以外見た目と気配が貧乏ニャ」

「…………当たり」
明らかに間違いだとすぐ気付く大皿も貧乏性で捨てられなかったに違いない

「ハッ!そういえば河原(墓地)の使用許可何処でとるの」

「…ニャ?」
おい墓守っ既に肉乗せ済みの上墓場で日常生活している猫(ヤツ)が今更言うかっ



釜戸の作り方は知っているらしく炭はイイ感じに燃えている

「続いて野菜!茄子ピーマントウモロコシとキャベツにおじゃがに人参玉ねぎは…」
視線をチラリと向けてくる

「ガウ?」
一応返事はしてやるがわかってるよな

「今回パス…ブラハ食べられないし」
当然だ

「さぁ食べて食べて!お酒はダメだからよく冷えたレモン水金羊ミルクと果汁…」
いい判断だ
未成年もいるし
酒癖悪い奴らだし
あの時は金羊亭で…いや止めておこう未だに悪夢で飛び起きてるコイツの前だ



「後はチーズにちくわにトマトに」

「ヂュ♪(チーズ♪)」
ネズミが喜んでるから文句はないが

「…普通焼かないニャ」
コイツは焼く

「大葉に胡瓜にブラックプリンとアクアゼリー♪」
黒と青のスライムが楽しそうに趣味の悪い柄の大皿の上で踊っている
夕食時なのに見ないと思ったら
「美味しそうでしょ♪」
「♪♪♪」
「☆☆☆」
命懸けで付き合うアイツ等も相当物好きだが
「ヂュッ(ウッ)」
だが美味しそうて
「…絶っ対焼かないニャ」
コイツは焼きかねん



バーベキューというものも終盤に差し掛かり徐々に
「あっ肉焼けたニャ」
そうか
「ガウッ」
焼けた肉もなかなかだな
「チーズいいカンジに溶けてるニャ」
「チュッ♪(ワーイ♪)」
自分の体程もある熱い固まりにかじり付く

「焼肉サラダ風にしてみた」
「♪♪♪」
「☆☆☆」
「やっぱり生ニャ♪トマトにきゅうりおいしいニャ」
「残るはキノコと肉少々にデザートの白玉餡蜜♪
シイタケ舞茸にエリンギ…と言えば思い出すんだよねぇエリンギラを」
「ニャ?」
「紫のアイシャドウ
菱形の流し目
キノコ独特の流線形」
だから何だ



「だいぶ前金羊亭でネタバラしてくれたけど本当はキャプ〇ンウル〇ラのバ〇デル星人」
「聖人ニャ?」
「ぱっと見ゴル〇13」
おいっ
「よりもっと似てると思ったのがパタリ〇のバン〇ラン」
「誰ニャ?」
「胞子がバ〇コラン菌に思えてねぇ」
何の話だ
「食べるとBL細胞に侵食されそうで」
だから何の話だ
「…しん…しょくニャ」
「知らないよね少女マンガだしねぇ」
コイツはたまに意味不明の言葉を
「知らず知らずの内菌に感染すると美青少年達がじわじわBLに侵され気付いた時には
もう手遅れ引き返せない状態に…ってあっ焼けたよエリンギ」



「…うっうっ…要らないニャー」
「ヂュウッヂャアァァァッ」
小さな体から繰り出される見事な跳び蹴り(自称必殺キック)が綺麗に後頭部に入る
全く自業自得だ子供恐がらせてどうする二匹とも毛が逆立ってるぞ
「グルルルルッ」
まぁ餡蜜とやらを食って少しは落ち着け
「うっ食べるニャ」
「ヂュヂュウ(食べるー)」
「♪♪♪」
「☆☆☆」
よし食べろ食べろ!
ウル町外れの墓地は今日も良い夕食日和だ

「…な……何…故…」

お約束の一人を除いては

…後でコイツも餡蜜食わせてやるか8!?

おまけ!?(別名蛇足)
「餡蜜おいしーありがとー生き返るー」
別に礼は要らんがBLとは何だ異界の流行り病か?
「え゛、えーと」
何だ?
「ウゥゥゥゥッ」
言ってみろ
「ボーイズ〇ブの頭文字」
………(怒)
「あああ餡蜜ー
ブラハいえブラックハウンド様ー
無言で持ってかないでー」


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