『ある朝食の風景』
(by フォルガ)

劇団員の一日は、当然の如く朝食から始まる。今日も食堂に団員たちが集まってくる
ラン「おはよ-っと。さて、今日の朝メシは何かな? …あれ、いつものパンじゃないね?」
スラスト「ああ、パン屋からの差し入れ、あれ今日からもらってないからね」
シヴィル「パンがない分、ごはんがへっちゃったおぅ!」
トレイに盛り沢山のおかずを乗せて、席に着くシヴィル。ランは思わず苦笑する
ラン「そんな訳ないだろ? ちゃんと神無さんがその分用意してくれてるじゃないか」
団員たちが次々食堂に入ってきて、パンの話に花が咲く

ケイ「あのパン、結構美味しかったよね。ピザパンなんか、よかったんじゃない?」
アルト「僕はイマイチだったかな。ピ-マン多めだったし…」
ニコ「その通りだよ」
ミーミャ「ミーミャはトマトソースも苦手にゃ…」
アル「え、なんだい、セラ? ……クリームパンは美味しかった? いや、あれも甘すぎじゃなかったかな…」
オーバー「好き嫌いの多い連中だな」
剣「パンの味がどうこう、と言うんじゃないけどな」
ガイデル「毎朝必ずパンというのは、やはり慣れぬものでござったな」
舞「私たちには和食中心に作ってくださる神無さんに、改めて感謝しないといけませんね」
スラ「ところで、その神無はどこだい?」
憐「皆の食事の用意を済ませた後、どこかに出掛けたぞ」
オー「こんな朝からっスか?」
辺りを見回すオーバー。
オー「そういや、スィンもいないな」

所変わって、広場。スィンが紙袋いっぱいのパンを抱え、なにやらぼやきながら歩いている
スィン「パン屋の奥さん、せっかく美人なのに、なんで俺よりあんな旦那がいいのかね? こんなにパン買って気を引いたのに、逆にたっぷりノロけられちまったぜ…」
ふと気がつくと、スィンの目の前に神無が立っていた
神無「スィン様、今朝も屋台のパンですか?」
スィ「え、神無さん? いや、これは」
神「私の料理がお気に召さないのでしたら、そう言っていただければよろしいのに」
スィ「そ、そんな事ないですよ」
神「それでは、今後スィン様のお食事はご自身にお任せ致します」
スィ「あの、俺先月もいろいろ減給されてて、毎度外食はきついんですけど…。いや、そうじゃなくて」
神「ご心配なく。スラスト様にお願いして、差引していた食費分はお返し致しますので」
スィ「そうじゃないって! ちょっと、神無さん!?」
その後、何度弁解しても話も聞かない神無に意志を伝えるため、スィンは憐に拝み倒して仲介を頼む事となった

憐「神無よ、あやつのアレはいつもの事じゃ。そろそろ許してやれ」
神「許す? 何をですか?」
果たして、神無は本気で怒って、何を言われても聞き入れないのか、素でそう思っているから許すも何もないのか。それが分からないから、話は進まないのであった。
スィンの苦労はしばらく続きそうである。

-終わり-

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