『劇場の休日―ガイデル犬猫物語―』
by ヒュ-クス

それは、ある休日の出来事だった…
舞「剣兄様、今日は付き合って頂き、ありがとうございました」
剣「用事は全て済んだのか?」
舞「はい、お陰様で」
剣「そうか…ん?」
舞「どうかしましたか?」
剣「あそこの路地を、ガイデルさんが入って行ったんだが…行ってみるか」
舞「あ…剣兄様、待って下さい!」
路地に入ってみると、奥の方でガイデルが座り込んでいた

ガイデル「さ、たんと食べるでござるよ」
剣が覗き込んでみると、ガイデルは猫に餌をあげていた
剣「野良猫ですか?」
舞「猫がお好きなのですね?」
ガイデル「そうなんでござるよ…って、剣殿に舞殿!」
驚き、振り向くガイデル
ガイデル「(猫に熱中していて、気配に気付かぬとは…拙者一生の不覚!)」
舞「可愛いですね。あ、結構人懐っこいです」
ガイデル「え、餌をやっているうちに…その…な、懐いたで…ご、ござるよ」
赤面しながらしどろもどろに答えるガイデル

剣「どうするんです?この猫。飼わないんですか?」
ガイデル「そうでござるな…劇場にはぱふが居るでござるし…無理ではござらぬか?」
剣「その猫が稼げる様になれば問題ないと思いますが?」
舞「そうですね。ユノさんに頼んでみたら如何でしょうか?」
ガイデル「うむ…相談してみるでござるよ」

所変わって、王劇執務室
シグ「あぁ、構わないぞ」
スラスト「但し!『働かざる者食うべからず』…芸を覚えて稼げる様になるまでは、餌代はガイデルの給料から引くよ」
ガイデル「致し方ござらぬな」
シグ「ユノには、こちらから連絡しておく」
ガイデル「すまぬでござる。それでは、失礼するでござる」

執務室を出ると、剣達が待っていた
剣「どうでした?」
ガイデル「上手く了承を得たでござる」
舞「ところで、この猫ちゃんのお名前は決まったのですか?」
ガイデル「ぴったりの名前を決めたでござる。"タマ"でござる」
剣「ガ、ガイデルさんらしいです(汗)」

その次の休日に、剣達が執務室の前を通り掛かると…
ガイデル「失礼するでござる」
剣「ん?ガイデルさん、何かあったんです?もしかして、また…ですか?」
ガイデル「今度は、子犬を拾ったでござる」
舞「今度も、可愛いですね」
ガイデル「"ポチ"でござるよ」
舞「…相変わらずですね(汗)」
剣「…ガイデルさん、これ犬じゃなくて狼なんですけど(汗)」
ガイデル「そうなんでござるか?まぁ、犬も狼も大差ないでござるよ」
剣・舞「あははは(苦笑)」
ガイデル「でも、狼でござるか…良いでござるな」

またまた、次の休日…
剣「失礼しま-す」
用事があって、執務室を訪れた剣が視た物は…
ガイデル「それでは、また宜しくでござる」
シグ「しかし、これで三匹目だぞ」
スラスト「餌代の方は、大丈夫なのかい?」
ガイデル「まぁ、元々給料はそんなに使ってなかったでござるからな…問題ないでござるよ」
スラスト「なら良いけど…」
剣「ガイデルさん、また何か拾って来たんですか」
ガイデル「やぁ、剣殿。ちょっと大きいでござるが、今度こそ犬でござるよ」
剣「ふ-ん…って、これはヘルハウンドじゃないですか!」
ガイデル「なんか、格好良い名前でござるな」
スラスト「剣、それは間違いないのかい?」
剣「はい…ガイデルさん、魔物ですよ!」
スラスト「ガイデル、悪いがこいつは飼えないよ」
シグ「魔物の館に預けるのを薦めるぞ」
ガイデル「そうでござるか…残念でござる」

シグ「しかし、なんで街中に魔物の子が?」
剣「大方、どこかの金持ちの道楽者が、飼うのに飽きて捨てたんだと…」
スラスト「碌でもない奴がいたもんだね」
ガイデル「全くでござる」
シグ「しかし…捨てられたのが、そいつだけでなきゃ良いが…」
一同「………」

その後、ある組織により街中の魔物捜索がされたとの噂が流れたが、それはまた別のお話…

『ペットは飼い主が責任を持って育てましょう』

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