《アルトの怖い話、再び》
by 戯言士 皐月

薄暗い部屋の中…団員を前にしてアルトが座っている
神無「前にもこのような催しありましたね」
アリル「へぇ、そうなんですか?私は初めてだから少し楽しみです」
そんな雑談を余所にアルトが口を開く
アルト「前に話したっけ?この建物の建設中に殺人事件が…って」
スラスト「あぁ、聞いた聞いた。同じネタではもう驚かないからな?」
ラン「そうそう。今回はセラもがっちりキ-プしてるから」
言葉のとおり、ランとスラストに挟まれて腕を組まれ、セラがじっと座っている

アルト「…でね?団長に頼まれて部屋の整理してたらさ…」
ごそごそと傍らの袋から何か取り出す
アルト「こんなの出てきた」
それはどこからどう見ても人の腕…

ラン「…ひぎっ」
アリル「ぇぅ」
流石にみんな引く
そんなの無視してアルトの話は更に続く

アルト「…んだけど、これがその被害者のな訳ないからね。いらないや」
(ぽいっ)投げた
「ぎいやぁぁぁ!!」
凄まじい叫びが部屋を揺らす
オーバー「お…ぉぉぅぃアルト…いくら何でも投げるのはまずいだろ!」
ルリ「そ…そそそ
そうですわ!死者への冒涜はいけません」
サ-ナ「そんなことしてたら天国いけないにゅるよぅ」
フィアラ「(こくこくこくこく)」
シグ「だ…大丈夫かフィアラぁ!」
声「あ、こんなところにあったぉ」

恐慌のなか聞こえてきた、やたら軽い声に全員その主に注目する
それは投げられた腕を拾い上げて喜ぶシヴィルだった
シヴィル「これは今つくってるゴ-レムのパ-ツぉぅ。どこに行ったのか探してたぉ。これで完成に一歩近づくぉ」そう言いながら嬉々として去っていく。やっぱり皆の怒りの矛先はアルト

スラスト「てんめぇアルト!一度ならず二度までも…」
ツルギ「そこに直れ!舞!仇は取ってやるからな!」
舞「((((゜Д゜)))ガクガク」
ラン「全く、セラの次は人形のパ-ツかよ…」
暴れる奴、安堵する奴、ショックのまだ抜け切れてない奴。そんな中…
声「フレッシュゴ-レムのパ-ツですね、あれ…そうでしょう?」
よく通る声。声の主は…神無
「ふれっしゅご-れむ?」
聞き慣れないその単語に誰かが疑問をなげかける
神無「はい、読んで字のごとく、《屍肉人形(フレッシュゴ-レム》です」
ザウエル「シヴィルもお茶目したい年頃なんだなぁ」
スラスト「はっはっ…何だ、ただの屍肉人形かぁ………は?」
《びぎっ》
場の空気が音を立てて凍る
ラン「しに…」
アリル「…く?」
次の瞬間
「ぎいぃやぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
表を通る買い物帰りの奥様方が驚くくらいの悲鳴が響き渡った

奥様A「あらあら、今日も歌劇団の方々は元気ですわねぇ」
奥様B「…こ、今度の出し物はホラ-かしら…?」
―――――
シヴィル「んぅ?でも、《ふれっしゅご-れむ》って何だぉ?」
自分の部屋に帰りながら首を傾げる彼女の手には、アルトの本棚から勝手に持ち出した赤黒い革張りの本が抱えられていた。その本の表紙にはこうある『妖蛆の秘密』

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