まだ年若く、そんな評判がた落ちのイリュージョニストのボクに、ダンジョン探索の誘いが来るわけもなく、ギルドからの給付金も減らされ、生活は厳しかった。オズアンナにも娘らしい服を買ってあげることすらできず、いつも魔術師のローブばかり着させていた。でもお前は一言も服のことで不平を言ったことがなかったね。
でも、今やっている実験が認められれば、幻影魔法もきっと見直されるに違いない。そうしたら、いろいろなチャンスが巡ってくる。きっとお前を幸せにしてあげられるだろう。綺麗なドレスも、アクセサリーだって買えるし、食事だってもっと満足のいくものを食べさせて上げられる。
ボクの試みはすでにウルの街どころか、メルキア全土で評判になりつつある。名うての冒険者たちがウルに集まり、地下都市探索にまで乗り出したのだから。そう、ボクのイリュージョンの力によって、すべてが動いている。
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