野心に燃える若きイリュージョニスト・オズワルドは自身の塔の窓辺から離れ、螺旋階段を下り、一階の広い居間に降りてきた。家計は困窮していたが、代々引き継いだ家具調度は室内に重厚感を醸し出している。居間の隅には竈があり、彼より八つ年下の妹のオズアンナが慣れた手つきで蕪を切っていた。明るい赤色の髪は肩で大きくカールして丸くなり、十五歳とはいえまだ子供らしさを感じさせる。
「兄さん、お出かけなの?」
「ああ、ちょっとギルドに行ってくるよ」
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