「晩ご飯までには戻れるの?」
「ああ、たぶんそんなに時間はかからないよ」
「今夜はね、お肉入りのシチューだよ」
「そいつは素敵だね。うん、良い匂いがする。お前もずいぶん料理が上手くなったよな」
「兄さんにはまだまだかなわない。上手なんだから作ってくれればいいのに」
「そうしたらお前はずっと料理できないままだろう? こっちだって最初のころは我慢してお前のためだと思って耐えに耐えたんだぞ?」
「ええー、ひどいー! そんな風に思ってたの?」
「あははは、冗談だよ。最初からお前の料理は悪くなかったよ。筋がいいんだな」
「ほんとう?」
「本当だよ。耐える期間はほんとに短かった」
「もう!」
「じゃあ、行ってくる」
「いってらっしゃい、兄さん…気をつけてね」
「すぐ近くじゃないか」
「それでも気をつけて」
「はいはい、行ってきます」
 妹の見送りを背中に受けながら、オズワルドは入り組んだ路地を曲がった。


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