オズワルドはギルドの書記官長に面会を求め、すみやかに容れられた。魔術師たちは確かに力の大小によって区別されるのではあるが、ギルドの会員である以上平等に扱われ、たとえ落ち目の幻影魔術使いであっても、粗略に扱われることなく、正当な権利を享受することができるのである。
書記官長のウーズワーズは、ぼうぼうに伸びた薄い赤茶色の蓬髪に、フェルトを固めた藍紫のとんがり帽子…先っちょは折れ曲がっているが…を被り、書類に埋もれていた。
彼が節くれ立った指を向けると書類の束から一枚の紙がすっと飛び出して、彼の手元ですっと止まった。素早くペンを走らせると、再び書類は別の書記官の山に飛んでゆく。
オズワルドが執務室に入ってゆくと、左目だけちらと動かして彼を認め、指先を曲げて椅子を動かし、無言で座るように促した。
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