「長官殿、イリュージョニストのオズワルドです。面会のお時間を頂き、まことにありがとうございます」
「挨拶はいい。見ての通りの大忙しじゃ。用件だけを言いなさい」
「はい、では、公式にギルドに報告したい件があり、書きつけを持って参りました」
「見せなさい……ふむ、『魔王アザーの出現は明日終了することを、イリュージョニスト・オズワルドは報告する……理由は自分だけが知っている……』なるほど? それが真ならば興味深い事だな」
そう言うとウーズワーズは日付と受領サインをしたためて、他の書記官の机の山にそれを送った。
オズワルドは恭しく礼を述べると、書類舞う執務室を後にした。
その夜妹と食べるシチューが、彼にとって格別だったのは言うまでもない。しかし、それは彼が幸福の内に食べることができた最後の晩餐となった。翌日の夜から、彼の心は焦燥感に捉えられ、懊悩の日々が待っていたのだった。
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