第30話
『猛き雷降臨す』
(by 戦士 ヒュ-クス)

飛び去ったガーゴイルを追って、魔宮に突入する
剣「舞、何処だ?」
ガーゴイルと化した舞を救出すべく、奥へと歩みを進める
どれくらい進んだのだろうか?突然目の前に地底湖が拡がった
剣「ここは…?」
足を踏み入れると、頭上から声がした
ガーゴイル「キィィィィ」
剣「居たかっ!」
頭上を見上げると、ガーゴイルが襲い掛かって来ていた
剣「舞、正気に戻るんだ!」
ガーゴイル「キィィィィッ」
剣「くっ…どうする?このままでは…。だが、攻撃する訳には…」

防御のみに撤するものの、徐々に押されていく
幾度か攻撃を捌くが、体勢を崩してしまう
剣「しまっ…」
剣の頭目がけて、鋭い爪が振り下ろされようとした
剣「此処迄か…」
覚悟を決めるが、爪が振り下ろされる事はなかった
剣「…?」
ガーゴイル(舞)「…剣…兄様…私…を殺…し…て…下…さ…い」
剣「…それは、出来ない」
舞「早…く…私…の…意識…が…残っ…て…い…る…内…に」
剣「俺はお前を守ると誓った…だからっ」
舞「剣…兄…様…今迄…楽しかっ…あ…り…が…」
剣「舞ぃぃぃぃっ!」
ガーゴイル「キィィィィ!」
再び繰り出される攻撃を、転がりながら躱し、体勢を、立て直す
剣「くそっ!」

その時、影が飛び込んできた
?「何やってるんだいっ!この程度の敵、てこずる程じゃないだろう!?」
剣「オネニ-さん!何故、零組が?」
スラスト「今回の件、アルトの独断でね、私等は降りたんだ。それより、このモンスタ-を倒すのが先決だろ」
剣「待ってくれ…そいつは、舞なんだ」
スラスト「何だって!?嘘だろ?」
剣「間違いなく、舞だ」
スラスト「何処のどいつだい!?卑怯な真似を!元に戻せないのかい?」
剣「…呪いとか、邪悪な力であれば…」
スラスト「よし、やれる事は全て試してみよう…私の解毒剤も飲まそう」
剣「…分かった。宜しく!」
スラスト「あいよっ、任せな!」

剣達は、舞を元に戻すべく、行動を開始する
剣「舞!精神を集中しろ!退魔力を高めて、邪悪な力を浄化するんだっ!」
ガーゴイル「グギィ…ギィィ…(舞「…剣…兄様…」)」
ガーゴイルが苦しみ出し、動きが止まる
スラスト「今だっ!」
ガーゴイルの口の中に、解毒剤を放り込む
ガーゴイル「ギィィェェェェッ!」
ガーゴイルが倒れ、黒い影が抜けると、舞は元に戻った
剣「よしっ!」
スラスト「舞は無事かい!?」
駆け寄って、確かめる
スラスト「ふぅ…気を失っているだけみたいだね。外傷は見当たらないよ」

舞の無事を確かめ安堵していると…
?「ほ-ほっほっ!よく、私の術を破れましたね…もっとも、戯れ程度の術ですがね」
剣「何者だっ!」
?「私は、水皇カイナッツォ…魔皇四天王が一人。どうです?私のプレゼントはお気に召したかしら?」
剣「貴様が、舞を…許さん!!」
カイナッツォ「あらあら…随分と嫌われてしまいましたね。おいでなさい、遊んで差し上げます」
剣「…良いだろう。《黒き稲妻》神威 剣、推して参る!」
スラスト「《サイレントハンタ-》スラスト…必殺の爪を喰らいなっ!」
剣とスラストは、水皇に向って走る!!
剣「うぉぉぉっ!『咬竜』!『竜虎双牙』!!『千竜烈波』!!!」
スラスト「シャァァァッ!!」
左右から上下の連撃に連続突きを繋げる剣の頭上を飛び越え、バグナグで切り裂く!
カイナッツォ「その程度?次は、こちらから…ね」
剣「な…効いていないだと?」
スラスト「来るよっ!」
カイナッツォ「全てを切り裂く水の刄よ…『アクアエッジ』!水よ此処に集いて槍と化せ…『アクアランス』!」

水皇の発した術が二人を襲う
剣「なんのっ!」
スラスト「ハッ!」
迎撃されても顔色変えず、次の術の詠唱に入る
カイナッツォ「数多の水の矢よ彼の者を貫け…『アクアアロ-』!敵を打ち抜くは水の礫也…『アクアブレット』!」
水の弾丸と、水の矢が迫り来る
剣「ちぃぃっ…『竜円舞』!」
円を描く連続斬りで、全てを斬り落とす
水煙が立ちこめ、互いの視界を遮る
剣「ハァァッ…『雷閃』!」
スラスト「行くよっ…『抜き足』!」
カイナッツォ「水よ全てを吹き飛ばす力と成れ…『アクアトルネ-ド』!」

風の刄と高速の爪と水の竜巻が、交差する
剣「ぐっ…」
スラスト「っ…」
水煙が晴れると、剣は左肩にスラストは右足に怪我を負っていた
カイナッツォ「あらら…痛そうね?さぁ、終わりにしてあげましょう」
両手を上に掲げ、術の詠唱を始める
カイナッツォ「暗雲よ全てを朽ちらす雨を降らせよ…『アシッドレイン』!」
剣「なっ…酸だと!まずいっ」

今まさに、術が発動しようとした時…
舞「させませんっ!奥義『四神…弐の弓・朱雀』!」
炎の鳥が、水皇に迫る
カイナッツォ「…!」
水皇は避けたが、術は妨げられた
剣「舞!」
舞「《白き疾風(カゼ)》神薙 舞、見参です!」
スラスト「大丈夫なのかい!?」
舞「はいっ!今、治します!八百万の神々よ、彼の者達を救う力を貸し与え給え『癒し』よ!」
光が剣達を包み込むと、傷が回復した
剣「よしっ、一気に行くぞ!奥義『閃光迅雷』!」
スラスト「これで、止めだよ!『杓死』!」
カイナッツォ「目に移る全ては幻影也…『ミラ-ジュ』!」

剣達の決め技が、命中すると、水皇の姿が崩れた
剣「何!?」
カイナッツォ「見事です。この私に幻影を作らせるとは…そろそろ、本気で行きますね。聡明たる水の波濤よ、戦禍と成りて厄を飲み込め…『タイダルウェ-ブ』!」
津波が、剣達を押し流す
舞「きゃあぁぁっ!」
剣「ぐはっ…」
スラスト「うっ…」

カイナッツォ「また、回復されると面倒ですね…あなたから始末しましょう」
と、舞に向って術を放とうとする
剣「させるっ…ぐぁっ!」
水皇の攻撃を遮ろうとしたが、足に痛みが走る
カイナッツォ「どうやら、足を痛めたようですね…其処で、おとなしくしていなさいな『アシッド…』」
剣「止めろぉぉぉっ!」
その時、《雷光》の柄に仕込まれた《秘石》が、眩しく光り出した
舞「…え?」
スラスト「何事だい!?」
カイナッツォ「しまっ…」
驚き、詠唱を中断してしまう
剣「二人共伏せていろっ」
《雷光》を頭上高く掲げる
剣「来たれ雷雲!唸れ稲妻!轟け雷鳴!空の狭間を越え、闇を切り裂き敵を討ち滅ぼす刄と成れ!!」
魔宮の天井を越えて、雷が剣に落ちた

カイナッツォ「…自滅?」
スラスト「いや…」
舞「まだですっ!」
剣の身体と《雷光》が、黄金色に輝き出した
剣「喰らえっ…『影の秘奥義』が一つ『雷技・神鳴斬(ライギ・カミナリザン)』!」
振り下ろされた剣先から、電撃の刄が放たれる
カイナッツォ「水よ我が身を守る壁と成れ…『アクアウォ-ル』!」
水の壁が、攻撃を遮ろうするが、壁ごと水皇を切り裂いた
カイナッツォ「ギィャァァァッ!」
水皇は倒れた

剣「や…やったのか?」
スラスト「やったんだよ…お疲れ!」
舞「剣兄様、今回復させますね」
剣「それよりも…舞、お前…」
舞「ご心配掛けて、申し訳ありませんでした」
剣「……」
舞「でも…例え操られていたとはいえ、私のした事は許される行為ではありません。ですから、償いをしたいと思います」
スラスト「償い?」
舞「はい。私も街を守る為、戦わせて下さい」
剣「いや、それは…」
舞「剣兄様が何と言おうと、今回ばかりは譲れません」
スラスト「はは…これは、剣の負けだね」
剣「く--…解ったよ…無茶はするなよ」
舞「はいっ!」

スラスト「さて、話もまとまった所で、奥に進もうか」
だが、その時…倒れたはずの水皇が立ちはだかる
カイナッツォ「貴様等、待てェェェ…生かして帰さん…」
口調が変わり、醸し出す雰囲気も更に邪悪になった水皇が吠える
スラスト「ふん、とうとう本性を表したかい…剣、あんた達は、先に行きな。此処は、私が引き受けるよ」
舞「でも、スラストさん一人では…」
スラスト「大丈夫だよ。敵さんも、虫の息みたいだからね」
剣「…判った。俺達は先に行く。あまり時間もなさそうだしな」
スラスト「そうだね…奥の方から、厭な気配がビンビンするよ」
舞「では、せめて回復だけは…」
スラスト「助かるよ。必ず追い付くから…行きなっ!」
剣と舞は、水皇の脇を擦り抜けて、魔宮の奥へ進む

カイナッツォ「行かせるかぁぁぁっ!」
スラスト「待ちなっ!あんたの相手は私だよ!」
カイナッツォ「…死せる種族ごときが、一人で我の相手になると思っているのかぁっ!」
スラスト「やってみなきゃ、判らないだろ?奥の手を見せてやるよ『解封』!」
尻尾の封環を取り外すと、スラストの身体から魔力が溢れ出し、ナイスバディに変化した
スラスト「さてと…『真・杓死』!」
感知出来ない程のスピ-ドで、周囲の空間ごと斬り刻んで行く
カイナッツォ「おのれぇぇぇ…下等生物がぁっ!喰らうがいい…複合魔術『アクアアロ-レイン』!」
頭上を埋め尽くす程に水の矢の雨が降り注ぐ

スラスト「うぉぉぉっ!」
バグナグで弾き返す
カイナッツォ「ぬぅぅぅ…複合魔術『アクアエッジトルネ-ド』!」
水の刄の竜巻が発生する
スラスト「チェィストォォッ!!」
傷付きながらも、竜巻発生領域を駆け抜け、水皇に接近して斬り裂く
カイナッツォ「ぐはぁっ!」
スラスト「まだまだ行くよ…『真・杓死』!」
カイナッツォ「ワンパタ-ンだっ!『アシッドレイン』!」
広範囲に酸性雨を降らす
スラスト「ちっ!」
流石に避けきれず、全身に火傷を負い転倒する
カイナッツォ「これで終わりだ!偉大なる水よ、我が前にその力を示し彼の者を打ち滅ぼさん…秘奥義『ハイドロプレッシャ-』!」
高水圧の水流が押し寄せる

スラスト「させるかっ…最終秘奥義『無我断空(ワレムトナリテソラヲタツ)』!」
水皇の術にカウンタ-アタックを併せ、威力を数倍にして跳ね返す
カイナッツォ「ぐぎゃぁぁぁ…」
遂に、水皇は粉砕された
スラスト「ハァ…ハァ…タイムリミット、ギリギリ…か。腐っても魔皇四天王、手強かったねェ」
立ち上がろうとするが、再び倒れ込んでしまう
スラスト「くぅっ…全身斬り傷に火傷か…幸い、致命傷じゃないけど、即行動って訳には、いかないねェ…少し…休ん…で…行…く……」



剣「…!」
舞「剣兄様…スラストさんの気が!」
剣「いや、きっと大丈夫だ…今は急ぐぞ!オネニ-さんの意志を無駄にしない為にも!」
舞「…はいっ!(スラストさん、絶対追い付いて下さいね)」
走る速度を更に上げ、魔宮の奥を目指す剣と舞…果たして、ウルの危機は無事回避出来るのだろうか?

to be continue

第31
第29

歌劇団ニュース
プロフィール
インタビュー

コミック
コント
戯曲
王劇設定集
王劇裏設定
地下劇場
壁を見る
投稿!
外に出る