【風と落ち葉とクッキーの実】

『落ち葉がたくさん飛んでいる。
じゅうたんみたいに積もってる。
涼しい風が吹いている。
りすやねずみが走ってる。

あたしはすごく楽しいけど、かなしい人もいるみたい。
どうして落ち葉がかなしいのかな?
ひらひら飛んでるだけなのに。
葉っぱを落として冬支度。
冬が過ぎたらまた生える。
かなしい人はなぜかなしいの?
木の実、見つけたら嬉しいくせに☆』

「何種類あるの、これ。大体食べれるの?」
「こーーゆう実に毒のやつはにゃいんだって♪」
「ふうん‥ねえ、あの人今度は何処行ったの?」
「お家の工事のお金稼ぎに行くって言ってたにゃ☆」
「そっか‥何でもただじゃないんだね。ねえ、あの人って、んーーと、家族の何?」
「むーー。働くおじさん?」
「何よそれ‥」
「取り合えず、二十歳過ぎたらおじさんだ、って言ってたにゃーー」
「普通自分で言わないわよ‥まあ爺さんじゃ無さそうだけど」
「爺さん!にゃはは、にゃに言ってんの♪こにゃいだ、高校生に中学生みたいって言われたーーって怒ってた」
「あーー、最近の若い子って老けてるからなーー‥なんか想像できる、あはは☆」

『かしの実、しいの実、はしばみの実。
炒ったり茹でたりそのままで、たくさんたくさん、クッキーを焼こう。
いがいがの実に気を付けて。足でしっかり開いたら、出てきた栗はケーキにしよう。
少し向こうに、とちの実の樹。
どうゆう味がするのかな?』

「そう言えばあなた、展望台は諦めたの?」
「うん、すっぱり♪だって、どう考えても作る場所にゃいもん」
「高いとこが好きならエンジェルさん達に頼めばいーよね。ひもで吊して♪あなたなら生け捕られた猛獣に見えるかもーー、あははは」
「うるさいにゃ‥とりあえず天井裏は、あたしのだからにゃ」
「頼まれたって要らないわよ。ほんと、猫ちゃんってそういう場所好きよね」
「いちいちうるさい人魚だにゃ・・まーーいい。出窓付けてくれるんだよ、楽しみだにゃん☆」

『だけどあたしは本当は、甘いお菓子は好きじゃない‥殻がぱちんと割れる迄、お鍋で炒って塩振って、そのまま食べるほうが好き♪
こっそり買った、エールもあるし☆みんなだめって怒るけど、どんなに飲んでも酔わないよ?
酔っ払ったり暴れる人は、たぶんエールが好きじゃないんだ。本当に酔って気持ちいいなら、暴れるわけがないもんね♪』

「ねえ、あなたさっきから何かいてるの?」
「むーー?こにゃいだおまえが書いたやつの仕返ししようと思ったんだけど‥だめだにゃ、やっぱ詩心が邪魔するにゃん☆」
「ちょっと見せて‥何よこれ、食べる事ばっかりじゃん。何処が詩心なの、もー!」
「きれいにまとまってると思うけどにゃん♪おまえもこうゆう文を書くよーーに、心がけるといいにゃん?」
「フンだ☆次は狸の代わりにあなたを泥船に乗せてやるからねーーだ」
「いーーかげんしにゃいと、今度は全身に爆竹巻いて、火ぃ点けてやるにゃ‥」
「お願い、そんな事しないで♪思い出したじゃない、もーー!!」
「で、その様子を絵師に描かせて、投稿するにゃん☆題名はー、踊る人魚の夜♪」
「本当にやったら決闘よ」

『悲しい時は森に行こう。楽しいことがすぐに見つかる。
退屈な時は森に行こう。やりたい事がいっぱい見つかる。
さみしい時は森に行こう、まわりは素敵なものだらけ。
気に入る場所は、すぐに見つかる。
そこに座って、エールを開けて、陽が暮れるまでぼーーっとしよう
‥暗くなっても大丈夫、きっと今夜は星がでるから☆』

「ほらもう帰ろうよーー、もう充分だよーー」
「にゃによもう、あたしはここでぼーーっとするの♪」
「ん。まさかそれエール?ずるいーー、自分だけーー!」
「あれ、おまえ興味にゃいんじゃにゃかった?」
「‥ちょっとだけ、ね?」
「まーーいーーけど。あとで暴れるにゃよ、おこられるのあたしにゃんだから」
「やったあ♪」

森の小さな生きものに、遠慮しながら集めた木の実。涼しい風が吹くなかで、籠を抱えて一休み。
真っ白な、煙突付きの暖炉部屋。横側に、出窓のついた赤い屋根。
完成までは、もう少し♪

☆終わり☆


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