【でぃおまる子ちゃん】

夏の思い出・後編

まるちゃん、水着を着る「♪おーーへそがちらりーー、きゃっ!!
どこを見ておるのだっ☆
‥‥すまぬ、言ってみたかったのだよ。

おほん、昼夜を問わず暑さの厳しいこの頃、そなた等は、如何ように過ごしておる?
まあ、冷却魔法で済む話ではあるが‥然し、余程の術者でもない限り、冷気を纏って行動する訳にもいかぬだろう。
そこで水着だ☆どうも王室主催で、水着姿が最も美しい者を決定する大会が行われるらしい。
我には案内が来なかったがな。
よかろう、ならば乱入するか‥何度見ても我には、ごく小さな三角布がついた紐にしか見えぬのだが、水着を入手した事でもあるしな♪
どれ、我もこの紐、否々、水着を着用し、会場の目立つ場所にて、陽なたぼっこと洒落込む事とするか、ウフフフ・・皆、驚くでないぞ、クックック・・・・」

そして水着大会会場‥
「Hi☆いいねーーそれ」
「あーー私もその色すればよかったーーっ」
「あんた普段より布地多くなーーい?」
「うるさいなーー、もう、いいじゃん♪」
「おおーー、なんか新鮮!こっち向いてーー☆」
「ねえねえ、ちょっとあれ。男性陣‥」
「見たぁ‥なにあれ。皆して凄い小さいの着てるぅ」
「集合ーー!
アイス使える人ーー」
「なにーーどうすんの」
「決まってるじゃん。少しでも、コンチワしそうになったら、皆で冷却するの」
「こらーーーーっ★」
「わ、私ちょっと‥」
「何よお、見たいの貴女」

賑やかな事である。
しかし。
一瞬、会場が静まり返った。
‥そう、僅かな布と紐のみを身につけた、まる子の登場である。

すたすたと、一番目立つ場所へ行き、さて。
「むう?
どうしたそなた等。
我に構う事はない、遠慮せず寛ぐがよい。
出でよ!」

忽ち、籐製の上品な寝椅子が出現した。
ゆったりと、それに身をもたせる‥
「ふう‥‥‥☆」

「あ、あああの、本日はこのような場所に、いかなる御用事で?」
「これ、固くなる事はない。参加するつもりはない、見物に来ただけだ」
「そ、それであの、それは水着なんですか?
紐にしか見えないんですけど‥」
「うぅんむ‥そなたにもそう見えるか。
然し、店員がこれが最新だと言うのでな」
「普通に売ってるからってそのデザインは‥もう、公共の場でそんなの着ないでください!!」
「何を言うておるのだ、そなたは。
そなた等の中にも、水着どころか裸同然の格好で闊歩しておる者が居ろう‥あれを責めずに我を責めるのは筋違いというものではないか?」

「‥誰のことですか?」
「おお、そなただ♪
なんだ、今日は普通に水着だな。
逆に新鮮でもあるぞ★」

「やめてください。これはあくまで、投票形式のコンテストなんですからーー、別にそんな際どいやつ着なくたっていいんですよ?披露するのも優勝した人だけですし」
「ふん、相変わらずまどろっこしいな‥一人だけ、等とケチな事を言わずに全員が披露すればよかろう物を‥絵画にするなり動画にするなりして。投票者にそれを売れば、可成の税収になるのではないか?
ほれ、確か‥ぷるるん何たらとか言ったな、あれをそなた等も見習うがよい♪」
「何ですか、ぷるるんって!
私たちそんなつもりじゃないですっ!!」
「ハハハハ、よいよい、照れる事はない。
それよりそなた等の影が、我の肌に差し掛かっておる。
すまぬが、少し避けてはくれぬか」
「あ!ははい、すみません」

「‥のう。
そなた等は、何故水着を着るのだ」
「はい?
えっとその、」
「これから泳ぐ訳でなし、やはり男共に披露する為であろう?
ならばもうそろそろ表現の仕方を考えた方が良いのではないか」
「うーーん‥私の一存では」

その男性陣。
「いいか‥とにかく、いや絶っ対!目ぇ合わすなよ」
「ああ、やべえよ。
何か一瞬で、ごっそりいかれそうな気がする」
「ん?
おまえ、なにしゃがみこんでんだよ」
「ミテハ駄目だミテハ駄目だ、ミテハ駄目だ、ああでも(チラリ)」
ぼかっ。
会場に響く鈍い音。

「ったくこいつは‥こっちに来いっ!!」
「あぁあ、ご愁傷さま」
「なあ‥あの格好、やっぱ一種の暴力じゃねえ?」

そして、その夜。
「ふぅむ。
なかなか面白い催しではあったな。
大いに改善の余地があるとはいえ興味深い内容ではあった。
水着というのは、何も泳ぐためだけの物ではない。
以前、遊具の専門書で見たが、びぃちばれぇ等と言う競技を行う際に、着用する物でもあるらしい。
球の行方はどうであれ、その、ぷるるんとか、ぽよよんとか、きゃあ転んじゃったぁ☆
とか、そうした事のみが採点の対象となるらしいぞ。
その遊具の名は忘れたがな‥王国の財政のほうも、あまり芳しくないと聞く。
たまにはそう言う路線で攻めてみるのも、一つの手ではないか?そなた等はどう思う。
フフフッ、まあ好みの対象は人それぞれだな。
ではな。又会おう♪」


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