【夏の日記】
洞窟内の書斎。
ちゃぶ台を、ぱんぱん叩く音がする。
「書斎、書っ斎っ♪」
「どしたんだよ、何か嬉しそうだな。‥冬の暖房の事、なんか案無ぇ?」
「お家来ればいーーじゃにゃい。物置とか、空けてあげるにゃ♪あたしのとにゃり」
「だーーからそうもいかねぇんだって‥」
「にゃんでーー?えっちにゃ事しやがったら、袋叩きのあと、お外に吊してあげるにゃ☆まーーそれよりこれ見て、これ♪」
「あぁ?また可愛い絵が描いてあんな。お前だな?」
「うん♪まえにぷにこが、とんでもにゃいはにゃし書きやがったけど、あたしはあたしで色々かいてんの。日記だけどにゃ☆で、劇場の本調べたら、ゆかたのはにゃしがにゃい」
「ああ‥そういやぁ。まぁ、普通に楽しかったみてぇだし、いいじゃねぇかよ」
「よくにゃい。そんにゃ訳でおまえ、これ見て書いて。どーーせ王国の機材、絵は載せられにゃいんでしょ☆」
「いや分かん無ぇよ?事によっちゃぁあるかもよ?ただ俺、携帯だけで、ぱそこん持ってなくてさ」
「にゃにそれーー★さっさと買うにゃっ」
「だな。そろそろ買うか」
「そーーそーー♪そうすれば、たまこの能力も、飛躍的にあっぷするにゃん☆じゃあはい、これ」
「OK・・情報の補足頼むな」
「題名はぁ、イヤらしい水着おんにゃと浴衣の淑女♪」
「こらこらこら‥」‥或る暑い日の昼下がり。リモンが家族に加わって、まだ間もない頃のこと。
「ただ今戻りましたーー♪」
「何か変な顔してたっ☆」
「ふふふふっ、無理もありませんね。この辺りでは、浴衣を御存じの方は少ないでしょうから」
「‥肌着のように薄い布ですね。少し、恥ずかしい気がしてきました‥」
「にゃに言ってんの☆普段着からして下着みたいにゃやつらに比べたら、ゆかた姿は淑女だにゃん♪」
「‥またそういう事を」
「それに街歩いてて思ったんだけど、服に絵を書くっ、て考えがにゃいみたい。こうゆう服は、好きにゃ絵が描いてある方が、ずっと楽しくていいよにゃ☆」
「そうです、絵です!仕上がりはどうなっていますか」
「あれフローラ考えたの?」
「そうです♪染色はまだ知らないものですから。貴女の浴衣はこれですよ」
「にゃに、この赤いの」
「金魚です。御存じありませんでしたか?」
「き、金魚‥(くそっ、あいつ正解)実物みたことにゃいの。ありがとフローラ☆」
「いえそんな♪リモンさん、こちらが貴女です。気に入って頂ければよいのですが」
「わたしに?ありがとう、嬉しいな♪
ってあれ?わたしも浴衣?」
「ええ☆貴女だけリボンだけというのは‥みんなでお揃いに致しました」
「わあ‥どうしよう、着てみよっかな」
「着かた分かるぅ?右が前だよっ♪」
「帯はええと、本見ないと解んないですーー」
「おおーー似合う!
にゃかにゃかいいにゃん☆」
「着たままじゃ泳げないけど、水辺に座ってるだけでもいいかな♪」
「‥想像しちゃいました‥とても綺麗ですね」
「やだもぉ、ナンシュアさん☆」
「よし、これ着て街に繰り出すにゃーーっ!!水着こんてすと冷やかすにゃん♪」
「おやめなさい、もう良いではありませんか。それにこの服は、夕方から着るものでしょう?
皆で花火を楽しみましょう♪」
「むぅ。まあいーーかにゃ‥じゃあ、にゃんか買ってこよーーか。
西瓜好きにゃ人ーー。あと、玉蜀黍かにゃ」
「はい、はーーい!でも重いですよーー。一緒に行きますー」
「おーーけーー、にゃかったらめろんね。ぷにこ、にゃんか欲しーーものある?」
「え?えぇとね‥コロッケ☆」
「あーーはいはい、気に入ったんだにゃ♪
いっぱい買ってくる。
おまえの事、言っといてやろーーか?
人魚も薦めるころっけ本舗ーー☆とか」
「やめてよ恥ずかしーーからもぉ!
じゃあわたし、水辺の掃除してくる。運んで?」
「‥ええ、行きましょう」
「ごめんね、いちいち迷惑かけて‥歩けたらな」
「お気になさらないで♪」
「‥そうです、歩けないにしても、その内、飛べるようになるかも知れません☆」
「そんな夢みたいな。ふう、からだ鍛えようかな‥」
‥石畳の道。建物も、ほとんどが石。街路樹の葉が茂っているとはいえ、流石にこれは暑い‥
「あ゛ーー、もうだめにゃ‥ににこ、ちょっと休も?」
「何言ってるんですかーー♪元気出して歩きましょーー」
「ふにぃ‥にゃんでおまえそんにゃ元気にゃの。あたし動きたくにゃい」
「そりゃあもう、帰ったらお楽しみが待ってるーーって思うからですよーー☆
あなたは違うんですかーー?」
「あたしだってその位分かってるけど‥今のあたしは重くて、暑くて、疲れてるにゃ‥ちょっと休もぉ」
「仕方ないこですねーー♪」
「そこの日陰に‥おう、猫もへばって寝てるにゃ。おまえ全身毛皮だから、たまんにゃいよにゃ‥」
「親子みたいですーー♪
あーーそこの小さい井戸から、誰か水を出してくれるのを、待ってるんじゃないでしょうかーー」
「にーーーー‥」
「にゃるほど。それじゃ、」
「んーー、夢中になって、飲んでますーー。可愛いですーー」
「あたしも一休みーー。ふぅ、暑いにゃ」
大きなレモンの様な果物を、半分づつ噛りながら一休み。
「酸っぱ☆強烈にゃ」
「暑くて疲れてるひとには一番いいんですよーー♪
んーー花火が楽しみですーー。あと、ナンシュアさんが、蛍がどうとか言ってましたねーー」
「ああ、キャンプで見たあれ」
「お家の横の小川を見てると、ここにも来てくれないかなーーって、いつも思うんですーー‥綺麗でしたーー」
「お水澄んでるし、持ってきたら居ついてくれるかもにゃ。おまえ、時々そこら見てぼーーっとしてるけど、そぉゆう事考えてんの?」
「あれは違うんですよーー。感動してるんですーー」
「かんどお?にゃんに?」
「そりゃあもう、陽に透けた葉っぱとかーー、風の匂いとかーー、小鳥と目が合った時とかーー、夕陽にお花が影を落してる時とかーー☆」
「確かにきれーーだけど」
「あなたはどうですかーー」
「んーー。獲物を板に縛ってる時かにゃ♪」
「そんにゃ事だろうと思いましたーー‥」
「待って待って、ええと、猫じゃらしキャッチした時!!」
「ほんと、うちのにゃんにゃんはーー。お休み終わり、帰りますよーー」
「ちぇーーあたしだってーー」
『暗くなってきて、皆で花火を始めました。ぷにこのたらいの上で、線香花火をしたら、とても綺麗でした。なんしーーが捕まえてきた蛍は、そこら辺を、飛び回ってました。居ついてくれるかなあ?
ゆかたでうちわで、西瓜を大きく切って。とても、楽しかったです☆』
「‥ってお前、日記これだけじゃねぇかよ」
「それを拡げてくのが、おまえの仕事にゃ☆」
「仕事って‥今一番の『遊び』つったろ」
「分かんにゃいよーー?その内ほんとに仕事ににゃるかも知れにゃい」
「そう都合良く行くかね?それはそうと暖房だが」
「にゃにーー?その、あたしを見る、いかにもにゃんか企んでそーーにゃ目は」
「いや‥お前、こうゆう歌知ってっか。猫をかん袋ーにへしこんでーー♪」
「ぽんと蹴ーーりゃ♪」
「にゃんと鳴ーーく♪」
「にゃくかっ!ばかっ!」
「駄目かやっぱ‥」
「ふざけんにゃっ!ええい、ちゃぶ台返しーーっ!!」
「何にも乗ってねぇって」
「あーー、そーーだ。それじゃ意味がにゃい☆」
「いや待て、ちゃぶ台。こたつって手もあるな」
「こたつーー?にゃにそれ」
「まあ掘りごたつだけど、あのな‥」
夏の思い出の絵日記。
彼女と、エンジェル4人と、人魚が仲良くたらいを囲み、線香花火をしてる絵が描かれている。
その周りには、西瓜と‥あと何か、料理のような。黄色い点と線は、蛍だろうか。
全員浴衣で、なかなか素敵な夜だったらしい。
らしい。‥ちっ、見たかったな。
☆おわり☆
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