【『楽屋』にて‥その8】

すっかり雪が溶けたのに、却って寒い。あちこち塞いでくれてたのかな、雪。
「ひゅ―‥んだよ寒ぃじゃねぇかよ‥俺が寒くて動けねぇって相当じゃねぇ?」
その時、遠くから、歌声が聞こえて来た。
「か―わ―ら―にゃい―、あ―さ―も、おわ―ら―にゃ―いよ―る―も―♪」
「‥また元気な奴がきやがった★いいからお布団の上で丸くなってやがれっての‥う―さむ」
「うぃ―す☆ん?こら―!!にゃにお爺ちゃんみたいにこたつと同化してんの!!」
「‥妖怪こたつ爺ぃか、俺は。‥まあいい、必殺技みしてやる」
「にゃににゃに、どんにゃの♪」
「‥うむ。秘技、こたつでぬる燗!!さっ‥と取り出す‥甘酒だけどな★」
「にゃう―♪それいい!!あたしも欲しい!!」
「ほらよ‥まあちょいと強めだし、ちびちび飲んな」
「いただきま―す☆にゃにおまえ元気にゃいね。にゃんかにゃやみ事?」
「いんや、別に悩みは無ぇし元気も一杯だ‥心配事は山ほど有るし、疲れの種も溢れてるけど」
「しっかりしにゃさい☆何処其処でにゃにが終わろ―と、あたし達はこれからにゃんだからね♪」
「‥終わりは直ぐ後に控えた新しい始まりの合図って思いてぇな‥ま、何の保障も無ぇけどよ」
「殆どの人が、そんな状態で生きてるの。あとは頑張って先に進むか、諦めてその場に残るかの二つだけなの☆」
「おぅ、ルディアか。どした腹減ったか?」
「お腹は空いてないの―♪あなた朝までずっと考えてたの。やっぱりあの事心配なの?」
「まぁちょいとな。またお前の言う停滞を好む人間共が、妨害してこねぇかって思ったら、ついな‥」
「やっぱしあの事か。おまえ協定の席に、こにゃかったじゃにゃい」
「俺は信用‥いや、知ってるからだ。どっちかってゆうと彼等の方が、約束に忠実で誠実だ。最近、なんか何だかんだで俺等が一番♪なんつってる人間共の方が下等に思えて仕方ねぇ‥」
「誰でも、高ぶる者は低くされるの☆」
「調子こくのは、にゃか身が空っぽだからだよにゃ」
「で、一番数が多いのはムカつく事にそいつらだ。大部分の者が、地獄への道を辿る‥と書かれている様に」
「今度は居にゃいでしょ―文句付ける人―。第一あたしたち、良い事しかしてにゃいよ?」
「文句?な事ぁ気にもして無ぇ★間違った事や役にも立たねぇど―でもいい事にしがみ付いてる奴ほど、変容や改革を恐れるって事くらい解ってら‥」
「判ったの☆そんな人達が戦争を起こすかも知れないって事なの」
「‥正解。まあ殆どが弱虫ばっかだし、ぐだぐだ言うだけで何も起こらんかも知れんが‥」
「もし、そ―にゃったら、あたし達どうする?」
「‥ぶっ潰すしか無ぇだろ邪魔なんだからよ。どっちが義しいか?考えるまでもねぇや」
「やっちゃう?思いっきりやっちゃう?あたし構わにゃいよ☆」
「あたしも頑張るの★」
「でもよ、出来ればそうゆう事態は避けてぇ。例えば屑一人処理するにしても、逆恨みだか逆切れだかで、そいつの家族親族友人知人‥全部残さず処理する羽目になる。必ず後で、ぐだぐだ言って来るんだからよ。俺はただ、自分が今いるこの場所を、少しづつでも良くしてぇって思うだけだ」
「戦争は望まにゃいんだ」
「売ってきやがったら、喜んでカマすけどな★」
「こら―‥それじゃあんまし感心じゃにゃいっ!!」
「平和って字、こないだ教えたろ?平等、もっと言えば対等の者同士でしか、成立しねぇんだよ」
「ってゆうか成立し得ないって思うの。こっちは高くなって欲しい、こっちは低く合わせて欲しい、これじゃ絶対失敗するの♪」
「た―しかににゃ―‥ねぇどっかその辺、おまえみたいに‥だったら困るけど、平和を願ってる人間居にゃいの?」
「居る、つうか居たっつうか‥結論から言えば、失敗したみてぇだな★無理も無ぇ、何か訳の解らん奴呼んで、こいつに何とかさしちゃえ―☆みてぇな計画、失敗しねぇ訳がねぇ」
「あ―はいはい、思い出したくもにゃいあの事‥」
「?あたし解んないの」
「るりあは別件、別格♪気にしにゃいで、もう絶対あんにゃ事だけは起こんにゃいから」
「分かったの☆知らなくていい事みたいなの」
「‥妖霊もまた、人間と同じように、義しい者もそうでない者も在る、か‥その通り。じゃあその義しい者の割合が一番高い者達が、一番上になるのは当然だよな?善行を競い合え、と書かれている様に、これが本当の意味での競争だよな?でよ、そっからなんだよ‥考えてたのは」
「にゃんで?お互いの平和のために、協力し合って‥あ!!」
「あ―解ったの、同じ種族でも、低い方は協力するわけ無いの♪」
「だよにゃ‥優れた者は、もうそれだけで自分達の存在を脅かす者だから、上面合わせても認めるわけにゃいよにゃ‥ましてやそれが異種属だったら」
「その通り。つまりこっちは善い事してる積もりでも‥実際そうだけどよ、向こうは自分達の停滞、いや平穏と安寧とを脅かしに来た敵でしかねぇ訳よ。つまり混沌と分裂と破壊をもたらしに来た、憎むべき敵でしかねぇ訳だ。これじゃ本当上手く行くかどうか」
「でもやるんだよにゃ☆」
「絶対やっちゃうの★」
「‥後が無ぇ子は前へ出るしか無ぇんだよ♪」
「んじゃあたしは、協定結んだ奴らのお家の近くに、ぽすと付けてこよ―かにゃ‥おまえ、勿論作ってくれるよにゃ?」
「任せな★ってお前、配達はどうなるんだよ。ビリーとルディアだけじゃ、大変すぎねぇか?」
「ちょっとあたしも‥それはきついの」
「心配しにゃいで、気が向いたら取りに行ってあげるね☆つっとくから」
「それじゃ緊急の用事の人には、対応できないの」
「緊急のひとは、ぽすとにお手紙にゃんか入れにゃいって☆」
「あ―そ言えばそなの♪」
「確かにそうだけどよ。ええんかいな、それで‥」

それから数週間後‥お家のある森の、近隣の森や林の入り口に、猫の絵が描かれたポストが設置された。
また少しづつ、彼女達の仕事も忙しくなってくる事だろう‥すべての種族の間に平和を。
こんな途方も無い夢が叶う日なんて、本当に来るのだろうか。
絶対に無理だとも思えないのだが。
アザーその意味は他の、余所の‥だったっけ?
まあいいや★

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