【外れた予言】
by MARCY
「おまえに質問がある♪」
「又かよ」
「にゃに、その態度★どんとこーい!位ゆうのっ!」
「‥おぅ、何でも来な」
「宇宙人って、にゃに?」
「あぁ!?」
「こけるにゃ★あのね、本で読んでて、にゃんか、どーしても気ににゃって」
「朝っぱらから何かと思や。んなくっだらねぇ事どうでもいぃだろ!?」
「良くにゃい!教えて!」
「はぁ‥あのな、語り部とか何とかがネタに詰まったり面倒臭くなった時、全責任を押しつけられる可哀想な架空の生き物の事だ」
「架空の?にゃあんだ実在しにゃいんだ‥」
「何で気になったんだ?んな事がよ」
「あのね、あたし達から見てあの世界、別の星でしょ?だから、あたし達も、あっちから見たら宇宙人にゃのかにゃーって思って」
「あぁ、はいはい‥っておい大分定義違わねぇか?」
「違わにゃいよお。やっぱしそーにゃんだよ♪」
「ふぅん。そぅか俺って宇宙人だったのか」
「そうにゃの☆てにゃ訳で、可哀想にゃおまえに責任を押しつけよーと思う」
「何を」
「昨日、りもんと喧嘩しててカーテン破いちゃった★それでね、罰として、買ってこにゃいといけにゃいの‥あたし今日、ご用事があるから、おまえ買って♪」
「‥‥。怒る気にもならん‥お前なぁ、それじゃなぁ」
「お願いー!あたしを助けると思って」
「しゃあねぇ、行ってきてやるよ。おら」
「にゃう?」
「金」
「にゃい」
「おいっ!」
「だってだって、あたし今そんにゃお小遣いにゃい。お裁縫するか、買うか、どっちかににゃさいってゆわれたけど、あたし、お裁縫した事にゃいし」
「はぁーあ。何か本当悲しくなってきた‥解った買ってやるよ。でもなぁ、ただ俺が買っただけじゃ、お前、また怒られんぞ」
「に"ゃっ!あたし、どーしたらいい!?」
「誠意を見せろ。俺が帰る迄裁縫してな、そのカーテン。服も縫おうが、指刺そうが、とにかく続けろ。でねぇと確実に、も1度怒られんぞ」
「にゃーうー‥」
街に買い物に行く事にした‥何か安くて良さげな奴を見繕ってこよう。
何れにしても、出掛ける予定ではあったが。
ナンシュアとリシェルの名刺が、完成した、と通達があった。
これで安心して次の計画を発動できる。
今朝は朝焼けが、やけに綺麗だった‥午後から降るかも知れない、寄り道しないでさっさと帰るか。
「つっても、カーテンなんざ何処で売ってんだ?普段行かねぇ店のチェックなんざしてねぇんだよな」
その時、何かが頭の上を、すっと通り過ぎた。微かに良い香がした。それは、目の前に、ふわりと着地した。
「ご機嫌よう。これからお買物ですか」
「おぅフロレットか」
「セリアさんに聞きましたよ★貴方がお買物へ行く必要は御座居ません」
「あや、バレたか」
「本当にもう。お裁縫を為さって居たのですが、あまりに酷くて見て居られませんでした‥それで伺うと貴方がお命じになられたと。心掛けや良し、ですが、カーテンには替えが有ります。もう良いのです♪」
「そぅか。んじゃいいか」
「フフフ♪それより管理局へ行かれるのでしょう?わたくしも、お供致します」
「それもお見通しか。流石だな、あんた★」
「フフフフ☆」
街の診療所兼管理局で。
「お2人には大変な苦労をおかけしましたね‥素晴らしい活躍でした」
「あんた等全員の、協力有ってこそ、じゃねぇか。あんな奇跡みてぇな事もう起こんねぇだろぅし、又、必要とされる様な事が起こってもいけねぇ」
「その通りです☆所で1つお尋ねしたいのですが」
「ん?」
「何故3つ有るのですか?」
「あぁこれか。ちょいと思うところが有ってな‥計画の足しにしようかと★名刺ってのは、他にサンプルさえ有れば"職業"の"象徴"位の物は出来んだわ。セリアの友達に墓地に住んでる子が居たろ?その子の"情報"送って頼んどいたんだ」
「ラセンさんの事ですか!?あの方も計画に!?」
「まさかだろ★"意味"を、ちょいと使うだけだ」
「意味とは?」
「計画の為に、ある人物を過去から"呼び戻す"‥全員の名刺が揃った。今夜、全員で作戦会議だ。フロレット悪ぃんだけど、ドラゴン達に、召集かけて呉れねぇかな」
「はい♪」
森の中のお家。家の前で、赤竜が待っていた。
「おぅテーナじゃねぇか」
「応、貴様か★フロレット殿も御一緒か、丁度良い」
「ご機嫌よう♪」
「いやいや。留守の間に乾酪が出来ておってな、持ってきた、食してくれ★」
「まあ!有難う御座居ます☆フフフ♪それに、お訪ねする手間も省けました」
「むぅ?我等に御用か」
「ええ。今夜家族全員で次の計画の相談を致します。皆さんもいらして下さい」
「実行可能な段階に入った。日暮れ迄に頼むぜ★」
「おお!よし、解った!直ちに同胞共に伝えよう」
テーナは飛んでいった。
「チーズですか、フフフ♪」
「にしてもフロレット、そんなでっけぇチーズよく片手で軽々持てるよな」
「フフフフ☆」
夕方‥
「きゃーっ!名刺出来たぁっ見して見してえっ☆」
「…長い長い間、待ってた気がします♪」
「オーバーだよナンシュアさんっ、たった1週間足らずだよっ」
橙色と深紅‥基本の色は同じだが透明度が増した。
「…名前は何ですか?」
「ナンシュア、あんたのはフラーテル‥意味は"友愛"だ」
「私のはっ!?」
「リシェルのはフィランタ。"博愛"って意味だ」
「どっちも愛じゃんっ♪」
「…素敵です☆」
「ほっとしましたー♪」
「これで又、全員の名刺が揃いましたね☆わたくしも安心致しました」
「次の計画の名は、エンジェルの愛‥プロジェクト・アンジェラーム。愛を以て、あの世界の、全ての種族の心有る者達の調和と融和と和平とを実現すべく影になり日向になりして行うものとする」
「あたしは?」
「お前は多分ケインでさえ理解出来なかったであろう特別な"その力"を以て皆を手助けしてやってくれ」
「にひひ★解った」
「今度は毎回、全員で行く訳にも行かねぇよな。ルディアは扉の固定に不可欠だが毎回テーマ決めて、得意な仕事にそれぞれ順番で行った方が良いかな?」
「ソレがイイの☆」
「苦手な用事で行っても、仕方無ぃもん♪」
「きゅー☆」
「我々も一応、得手不得手は有る。どうせ問題は山積みなのだろうし現地にて確認の上、相談するか」
「うむ。其の方が良い」
「たまるは毎回、あすこに行きたいなー‥」
「おまえはにゃー。連れてかにゃかったら、あいつ等の御機嫌が半分ににゃる★いいよ、毎回一緒に行こ」
「…ウフフ、そでしたね♪」
「やったー☆」
「所で今回の計画は、我等だけでは到底手が足りぬ‥現地の者、それも、人間かそれに係わる者の協力が必要だが、宛ては有るのか?」
「バッチリ付いてるよ★未だ連絡付いてねぇけど確保したも同然だ♪悪ぃが本人の意思は関係無ぇ、計画達成の為にヤる。以上!」
「アナタのソウいうトコ、ケインちゃんソックリなの★」
「男のひとなんてー、皆そうかも知れないですー」
「むぅ?我々は違うぞ」
「そうだよねっ♪」
「それはともかく。どういった者なのか?それ等は」
「その前に少し、語っても良いか?」
「何だ?まあ構わぬ言ってみるが良い」
「予言についてだ」
「それって、聖書の預言者さんの事ぉ?」
「違う違う、あの人達じゃねぇよ。あの人達のは、神様から与った"宣告"だ、必ず起こる。そうじゃねぇ、空想‥所謂"お伽話"の方だ」
「あれぇ?そっちの方も結構ばかに出来なぃみたぃだよぉ♪当ってるのも有るみたぃだし」
「リモンそう言う本読んだりするのか?」
「時々☆」
「まぁ確かに、世界中探せば後になって似た事象を見付ける事も出来んだろぅな‥でもよぉ。な事ゆうなら、大分前に廃れたが犯罪映画なんて、全部予言の書、なんじゃねぇ?どれもこれも、封切り前から世界の何処かで起きてたろ★」
「あはははは♪」
「あうー。ここは多分笑っちゃダメですー」
「だって本当じゃんっ☆」
「それで‥。貴方が仰る予言とは?」
「知ってるかもな。その日天空から舞い降りる驚愕の大王。アンゴルモアの王を甦らせる為に‥その前後の時代、マルスは幸福の名の下に統治する‥大分前に世間を大きく騒がせて、スパッと外れた有名な予言だ」
「それは知らなぃなぁ」
「むぅ。まぁ今じゃ図書館にも無ぇかもな★でもって‥今回はこの"外れた予言"を有効利用する方向で持っていきたいと思う」
「どの様にでしょう?」
「冒頭から行くぜ。先ず時代の節目の年、7の日‥これは1週間で完了した、前回の計画の事だ」
「大成功だったよねー☆」
「その通り★んで、驚愕の大王ってのは、正に、異世界から来たあんた等全員」
「天空で活躍為さったのは、ナンシュアさんとリシェルさんとケインさんですよ?わたくし達は、地上に居ました」
「異世界っていう"天空"から"舞い降りた"事に変わりは無ぇ。大体、あんた等全員で成し遂げた事だろ」
「起爆剤はあなたですー」
「俺は送っといた分身を、あの空間内で爆破"させた"だけだ。ほい、ここまでの変換完了★次はアンゴルモアだ。次の計画の名前は?」
「…アンジェラームです♪」
「正解ぃ★」
「ふぅむ‥だが其の場合、計画の王とは何か」
「ちょいと違うな。計画のじゃねぇんだ、計画に因って、が正しい。"甦らせる"んだからよ」
「目星は、付いておると言って居ったな。何者か?どの様な者か」
「2名居る。片方は、遠い過去に飛ばされた人間と妖霊族のハーフ。もう片方は元々あの世界で人間の支配者だった者‥セリア、だから悪い気持ちを打ち消すだけで、殺さねぇで呉れって頼んどいたんだよ」
「そっか、にゃーる程★にひひひ♪」
「始めからこの事に、お使いになるお積もりでいらしたのですか!?」
「勿論だ。あの世界にしてもバランスは大事だろぅからな。片や人間と他の種族との調停者。片や、あの世界に於いて陰ながら人間を正しく導く統治者。何れも、王と呼ぶに値する」
「…あの、そのひとは判りますが過去へ飛ばされたひとは、どうするんですか?」
「おぅ、そーこーで。フロレット、3つ目の名刺の出番だ」
「とても興味がありました。それはあの方の名刺なのでしょう」
「えっ何っ誰のっ!?」
「俺は、直接会った事無ぇから、データ作って貰うの苦労したよ★セリアの友達の、墓地に住んでる子。ラセンつったっけな、これだ」
「…薔薇輝石‥ロードライトに似てますね☆」
「透き通ってますー♪」
「ぴんくと黒が、いい感じだにゃ♪これあいつの?」
「カルル・バクク。"呼び戻す"者って意味だ。悪ぃがルディア‥こいつと同調して、セリアと例の"空間"に入って呉れるか?あの夢の迷宮に」
「任しとくの♪ピッタリくっついてれば問題ナイの」
「頼むぜ、絶対離れねぇで呉れよ‥セリア、何なら"両手"使っても構わねぇ。何としても取っ捕まえて現在のこの"時間軸"にこの子を呼び戻してくれ」
「まー、やるしかにゃいみたいだし♪任して★」
「…何処に居るんです?」
「それがなぁ。判りやすい目印は前回の計画で殆どが滅んじまったし」
「飛空船2隻に地に埋まって居った飛空空母。それが埋まって居った街‥」
「太古の文明を継いだ、例の"火種の街"も完全に滅びおったな★」
「加えて、"記録"しなかった数々の村や街や城塞。あの子の"記録"を辿れる都合のいい目印、今、何にも残ってねぇんだわ」
「きゅー★」
「じゃぁどぅするのぉ?」
「だが然し。あんた等も知ってる"あの街"は完全に無傷だろ‥」
「そりゃ、最後に行ったもんにゃ☆」
「これ見てくれ。こないだ見付けた。元々あのケインの名刺パルフェスタは、この子に預けといたんだ‥後でケインに取りに行かせて、2人を会わせてそれから‥」
「それからー?」
「ゆっくりじりじりと、あの世界を変える方向へ持ってく積もりだった。別に、あの子をこっちの"理"に縛る積もりも無かったしな」
「貴方も始めは、あれ程迄に為さるお積もりでは無かったのですね」
「おぅ‥だがな。あんた等を全員こっちに"引っ越し"させざるを得ねぇ事態が発生した」
「お話の終結に因る、時間の凍結‥空間の封鎖、いや閉鎖かなっ?皆止まって、無くなっちゃったあの日っ?」
「そぅだ。然しこの記録は残ってた。俺は情報を整理して例の計画を立てて実行しはしたが。この記録も残ってんなら話は早ぇや★」
「にゃる程、あたしと会った記録も残ってるにゃ♪これだったら探すの楽☆」
「"あの街"から、辿りゃ良いんだからな♪」
「だが片割れの者は?あれは一筋縄では行くまい」
「行くんだわ、これが★簡単にな。あれに何か、宛てでも有るか?誰か、頼れる奴でも居るか?多分今頃1人ぼっちで泣いてるぜ‥場所も把握してある。早速だが、明日の日曜にでも"助けに行って"やってくれ」
「…危なくないですか?」
「"男性的部分"は、根こそぎ消された。てぇ事は、あれはもう"反対の"姿を取るしかねぇ♪しかも"悪い気持ち"はセリアに消されてる。これ又完全にな」
「ですが、わたくし達の申し出を受け容れて下さるでしょうか」
「受け容れざるを得ねぇ。それより良い選択は無ぇんだからよ。身柄を確保したら、そのまま"この世界"に連れてきてくれ」
「ええーっ!?」
「"残った1滴"みてぇな存在とは言え"力"は充分な筈だ‥だが、あれには、その力を確証する肝心の"知識"が欠けている。つまり、ここじゃ常識の"真実の知識"が」
「まさかっ!?」
「そぉうだ★聖書の文句を徹底的に叩き込む‥妖霊族1番のドラゴン部隊と、妖精‥精霊族1番の、エンジェル姉妹が居るんだからな♪」
「まぁ我々は、彼の書物に於いては、事有る毎に、竜だの蛇だのと呼ばれ忌み嫌われては居るが」
「只の竜だの、蛇だのは決して持ち得無ぇ"信仰"を持った竜は誰だ」
「無論、我々だ」
「最高じゃねぇかよ★」
「わたくし達は、言わば只の妖精族で御使いの方々に遥か及ばぬ存在です」
「そんなに偉くないよっ」
「その"敬虔さ"故に、あらゆる精霊族の中でも最上の存在は?」
「えーとですねー」
「…多分、私たちです☆」
「きゅー♪」
「ビリー、お前は全ての小さき者の中でも最上の"力"を秘めし者。大きな奴も、敬意を払わずに居られない程」
「きゅ☆」
「わたしはぁ‥。エンジェルさん程じゃ無ぃなぁ」
「"慈悲"をその名刺に持つ、最上の水精は誰だ」
「えーとぉ、わたし☆」
「その通り★」
「たまるは、まだちっちゃいし、ひとにお勉強なんて、教えられないよ?」
「"我が真実"の名刺持ってて、何言ってんだよ。それ程の緑精、世界中探したって‥一体何処に居る」
「えへへ☆そーかな」
「聖書の知識か‥ケインちゃん言ってたの。コノ世界じゃ、ソウじゃ無い子は存在も許されナイって」
「なら、あんたは何の問題も無ぇ★"自在"の名刺を持つ程の者が、それより手前の、真実と正義とを知らないだろうか?」
「イヒヒヒ♪」
「でもそのひと、たまる達の事、嫌ってないかなあ」
「いんや、多分あれが嫌い‥いや大っ嫌いなのは俺だけだ★俺が全ての"元凶"なんだからな。誰だって、大嫌いな奴が傍に居たら他の奴には親切に出来るもんだ」
「考えてますねー★」
「この"最高の家族"が、寄ってたかって教育すれば‥あれの"矯正"は絶対確実間違い無しだ♪それまで低く見てた者達が、自分が知らねぇ"良い知識"を完璧に保ってるのを目の当りにすれば‥焦って必死に"勉強"するさ★何しろ他に道は無ぇ。逆らったら今度こそ破滅有るのみ、何だからな」
「ですが本当に、受け容れて下さるでしょうか?」
「だから心配無ぇって。他に"拠り所"でも見つかる前に取っ捕まえ‥」
「ちょっと、こらーっ!!おまえ、終わらせるにゃっ!あたしはっ!?あたしはっ!?」
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