「どうしたの? そんなに深刻な顔して?」
金色の輝きがオズアンナをのぞき込む。それはエルフだった。エルフがヒューマンの街にいるなんて、とオズアンナは驚いた。さらさらのブロンド、細くて幼い少女のようなきゃしゃな手足、透き通る青い目。そしてそのエルフの娘は、ピンクのティアラにピンクのひらひらのドレスというひどく目立つ装いを、さも当たり前のように着こなしていた。
「わたしロリエーン、よ、ろ、し、く! あ、判る? エルフなんだ」
「え、ええ、判ります。あの、わ、わたしは魔術見習いのオズアンナです」
「んー、オズアンナちゃんは恋の悩み……ではなさそうね? どうしたのかなー? 何でもこのロリエーンさんに話してご覧なさい。力になれなくてもすっごく楽になるし、もしかしたら上手く力になれるかも知れないよん?」
「じ、実は兄が……」
オズアンナはぽつぽつと話し始めた。塔での兄とふたりでの暮らし、貧しかったこと、でも楽しかったこと、その兄が最近おかしいこと。とても心配で胸がつぶれそうなになること。そして話し終えると彼女はぎゅっと抱きしめられた。
「判ったわ、オズアンナちゃん! わたしに任せなさい! ぜったい兄様を救ってあげる! まずそのためにはあの人の良い冒険者くんを上手く話に乗せなきゃね。タルケンっていうのよその子。最近駆け出しながらもメキメキと頭角を現したって感じね。戦士だけど、罠も外せるし、魔物の召喚だってしちゃうんだから!
ほら、あの子よ。ちょっとぼけーっとしてるけどけっこう頼りになるのよ。オズアンナちゃん、あなたがちゃんと声を掛けてお願いするのよ。そのキュートなウルウル目で頼まれたら、タルケンなんかもう一発で決まりよ! わたしの絶対保証付きだから、さあ行ってらっしゃい!」
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