『王劇の節分―弐之巻―』

作:戦士 ヒュ-クス

節分の名を借りた王劇団長杯、サバイバル鬼ごっこ大会…生き残るのは誰か!
そんな感じで、幕を開けた節分行事…内容の奇抜さは、団長の企画と聞けば、推して知るべし…だな
現在の状況はと言うと…開始と同時に、俺達鬼役は散開、狩り手からの追従を振り切ろうとしていた
ザウエル「さぁ、今回のイベントも始まりました…司会は私、ザウエルと…」
憐「解説は妾、十六夜 憐が送るのぢゃ」
ザウ「さて、現場レポ-タ-の神無さん…そちらの様子はどうなっていますか?」
神無[はい…開始早々に散開した鬼役の方々でしたが、今、私の目前にて集結しています]
…散開した、筈だったのだが…
スィン「おい…何で全員同じ所に居るんだ?」
ゼロ「知るか!偶々なんだろうが…」
クラフル「揉めている暇は無いと思うがの」
俺達が、偶然か必然か集結してしまったのと時を同じくして、狩り手も集まってきた
ポチリ-ナ「あ!見付けたでちゅ…『鬼は外-!』」
一同「『鬼は外-!』」
その掛け声と供に、豆が雨あられと降り注ぐ
オ-バ-「うわわわ!」
慌てて豆を避ける俺達だった…本来、節分なら豆に当らないといけないのだが…
スィン「うぉぉぉっ…避けまくって、豪華賞品GETだぁぁっ!」
クラフル「下手に当り過ぎると、減給が待っとるしの」
スィン「くぅっ」
そうなんだよな…今回のル-ルは、見事避けきれば賞品が出るんだが、豆の当り数が最多の鬼は減給が待っている、と言うペナルティ-の為、豆を必死に避ける鬼達…と言う、本来の節分から掛け離れた様相を呈していた
ガイデル「ぬぅぅっ…いい加減、当るでござるよ!」
ゼロ「断る!」
神無[…と、現場での事態はやや硬直しています…一旦、場面をそちらに戻します]
ザウ「はい、ありがとうございます…やはり、鬼達は避けまくっている様ですね?解説の憐さん…」
憐「そうぢゃな…ここは一つ、狩り手側の皆を奮起させるべきかの」
ザウ「そうですね…[狩り手の皆さんにお知らせです!今回の優勝者には、副賞として団長権限による"希望を一つ"叶えます]…こんなので、どうでしょうか?」
憐「ふむ…良いのではないか?」
神無[憐様、ザウエル様…現場の神無です…只今の通達により、比較的控え目に参加していた方々も戦意が向上した模様です]
スラスト「あんた等、覚悟しな!」
スラストさんは、その身の速さを活かして素早い豆捌きを披露し…
舞「兄様、参ります…お覚悟を!」
舞は、鏃(ヤジリ)の替りに豆の入った小袋を括り付けた矢を放ち…
ラン「これで、どう?」
ランは、格闘技術を応用して豆を礫(ツブテ)の如く弾き…
ケイ「…ビ-ンズ、行きなさい!(キュピ-ン!)」
ケイは、豆を超能力で不規則に飛ばし…
シ-ナ「ウフフフ…今こそ、この新兵器の威力を見せる時…はうっ……くうっ…た、倒れる訳には…あうっ」
タイロン「結局、倒れてるじゃない…安心なさい、替りに射っておいてあげるわ…全弾持って行け!」
タイロンは、シ-ナの造った機械で豆を雨あられの如く全弾発射し…
ガイデル「天誅でござる!」
ガイデルさんは、言葉とは裏腹にオ-ソドックスに豆を投げる
その他の皆も、一斉に豆を投げ始める
ゼロ「げ…凄い数の豆だな」
剣「確かに…だが!」
俺は、身を屈め、脚に力を蓄めると弾ける様に駆け出した
剣「うぉぉぉっ…『電光石火』!」
オ-バ-「すげ…あの弾膜を避けてる」
スィン「…つ-か、おまいは何処ぞの黄色い電気鼠かよ!」
クラフル「オヌシ等、避けぬと危ないぞ」
クラフルとゼロは、各々の武器で豆を弾きながら移動していた
オ-バ-「お、俺どうしよ?武器なんて無いし…あ!…スィン、すまん」
スィン「へ?」
オ-バ-は、スィンに一言詫びると、スィンの背後に素早く廻り込むと…
オ-バ-「秘技…『スィン防壁』!」
スィン「あだだだだ!」
スィンを盾にして、その隙に包囲網を抜けるオ-バ-
哀れ、スィンは生け贄となった…
舞「あ、兄様お待ちください…逃がしません!」
スラスト「スィンを犠牲にしたか…オ-バ-も中々やるねぇ」
タ-マラ「…待って…召喚して…後…追います」
アルト「え?セラも式神を出して追うって?」
セラ「…(コクン)…」

(一時間後)

剣「ハァ…ハァ…ハァ」
クラフル「フゥ…フゥ…フゥ」
剣「…逃げ延びたのは、俺達だけか」
クラフル「…その様だの」
追っ手から逃げ回る中、オ-バ-とゼロも散り、俺達二人だけが残った
舞「兄様、ようやく追い詰めました! ウフフフ…お覚悟下さいませ」
ま、舞さん?なんか背中に黒いオ-ラが見えるんですけど(汗)
ミ-ミャ「やっと追い付いたにゃ…」
マ-シャ「いい加減諦めるにゅ」
タイロン「フフ、これでやっと…」
ガイデル「年貢の納め時でござるな」
スラスト「フッフッフ…皆、準備は良いかい?せ-の!」
狩り手一同『鬼は外-!!!』

終に追い詰められてしまった鬼役の剣とクラフル…
彼等の命運は如何に?そして、勝利の女神は誰に微笑むのか!
この続きは、次回の講釈にて…

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